20人分の支払いを強制!?
さらに数日後、カフェレストランを貸し切っての食事会にも強制的に参加させられた私。招待客は社長夫人と私の他に18人。皆、彼女をちやほやおだてる、「部下の妻=取り巻きたち」です。
「せっかくのお食事会にみすぼらしい服を着ちゃって。服を買う余裕もないの?」と私を見てあざ笑う社長夫人に、「そんなことはありません」と反論すると……。
「それなら、20人分の食事代を払いなさい。あなたが一番格下でしょ。私の夫が誰だかわかっているわね?」と小指を立ててふんぞり返っています。
私は、彼女と一緒にニヤニヤしている取り巻きたちを見回して、今こそ逆襲のときが来たと息を吸い込みました。
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下請けはどっち?
「はい、あなたのご主人は、弊社の派遣社員さんです」。ざわつく取り巻きのご婦人たち。社長夫人は驚いて、「は? 夫はあなたの取引先の社長でしょ!」と青筋を立てています。
「たしかに社長さんですが、経営難で資金繰りにお困りの会社ですよね。何とか支援してほしいと懇願してらしたので、わが社が派遣社員として雇用しています」
「そんなのウソ! 下請けはあんたのほうでしょ!」と叫ぶ社長夫人。そう簡単に信じないと思っていたのですが、やっぱり。私は、「それなら社長自らお話ください」と彼を呼び入れました。初めからそのつもりだったので、準備は万全です。
「彼女の言う通り。俺の会社が下請けで、派遣社員にしてもらったおかげで倒産を回避できた。社長夫人の呼び名に酔って経営や俺のことに興味を示さず、遊んでばかりのお前は知らなかっただろうけど」
高飛車社長夫人は、取引先と聞いただけで勝手に勘違いをしていたのです。