貯めたお金を「使えない人」続出…豊かな老後のための“賢いお金の使い方”【FPが解説】

運用利益を年金のように受け取れるファンドを利用する

証券会社にもよりますが、この定期換金(売却)サービスには、「定口解約」と「定額解約」の2種類の取り崩し(受け取り)方法があります。違いをよく理解して、ご自身の老後資金設計に役立ててください。詳しく見ていきましょう。

定口解約

受け取りたい年数(例:30年など)を指定し、保有口数を解約年数で等分し、さらに1年間の解約回数(毎月受け取りの場合は12回)で等分した口数を都度解約していきます。確実に決められた期間で受け取れますが、受取額は解約時の基準価額により変動します。そのため、毎回決まった金額が受け取れることにはならないことにご注意ください。

下記の例は、当初400万円を一括で預け入れ、30年間で毎月受け取るケースです。

[図表4]30年で毎月解約する場合 出所:セゾン投信HPより引用※2

定額解約

1年で受け取りたい金額(例:100万円など)を指定し、1年間の解約回数(毎月受け取りの場合は12回)で等分した金額相当分の保有口数を都度解約します。受取額は一定ですが、解約時の基準価額により解約する口数が変動するため、受け取れる期間は変動します。

受取金額が一定のため、生活費の補填など継続的に取り崩す場合に適しています。しかし、基準価額が下落した場合には売却口数が大きくなってしまい、想定していた期間よりも前に資金が枯渇してしまう恐れもあります。基準価額の暴落や下落局面が続いてしまった場合には、注意が必要です。

下記の例は、当初400万円を一括で預け入れ、毎月1万円ずつ受け取るケースです。

[図表5]毎月1万円解約する場合 出所:セゾン投信HPより引用

なお、実際にご利用の場合は手数料や利益分には税金がかかりますので、窓口等で説明を受けて納得のうえ、意思決定しましょう。また、受け取り期間の途中で亡くなった場合は、残りの資産残額は相続財産となります。

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高齢者にはインフレが最大の敵

公的年金の額は毎年「マクロ経済スライド」という方式で調整されます。しかし、人口減少で高齢者比率が高くなっている日本では、物価上昇分のすべてをカバーできるほど年金を増額できるものではありません。

多少年金額がアップしたとしても、物価上昇分には追い付かず、インフレ時の年金額は実質的に減少したも同然となります。さらに定期預金の金利も長引く超低金利で、ほとんど利息が付かず、インフレには弱く、長い老後期間では資産を目減りさせていくことになってしまいます。

人口が減り続け、高齢者問題が深刻度を増す日本では、今後も円安が進んだり人手が足りなくなったりすることで、物やサービスの価格は上がっていくと思われます。

「投資は怖い、苦手だ」と思われる人もまだまだ多いですが、ゆとりのある老後生活を手に入れるためにも老後生活の資金設計に一度しっかり向き合っていただきたいと思います。

<参考>
※1 生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度
※2 セゾン投信HPより引用