A先輩が去り、私は…

するとAは、社長の話を真剣に聞いていなかったらしく、「ともかく商談成立ですかね? 俺のお手柄ってことで♪」と発言。社長はそんな彼を見て黙っていたのですが……。

帰社すると、すぐに私たちを呼び出した部長がAに一喝。「社長から商談中の君の様子を全部聞いた! 説明はまったく要領を得ず、資料の内容も把握していなかったと!」

聞けば部長は、彼の悪評を耳にして調査をしていたのだとか。仕事を怠けて私から契約前の案件を横取りしていた件だけでなく、他に不正をしていたことも発覚。結局、数日後には解雇処分になりました。

一方の私はというと……。あの後、無事に商談が成功。社長とは母のお墓参りにも行きました。Aが奪ったいくつもの取引先の担当に戻ることもでき、忙しいけれど充実した毎日を過ごしています。

--------------
母の形見の腕時計がつないだ不思議な縁。20年前の恩を忘れていなかっただけでなく、横暴なA先輩のことをすぐに見抜き、主人公の実力を評価して契約を結んでくれた社長もすてきですね。

著者/ウーマンカレンダー編集室/スカッと
読者からの体験談をお届けします。