【3】通勤手当は手段により支給有無や額が変わる

そもそも論になりますが、通勤手当は労働基準法などの法律で規定された賃金ではないため、企業に支給義務はありません。ただし通勤手当の支給基準や支給金額を就業規則などで定めている場合は、企業はその約束を守らなければなりません。この場合は賃金として解釈され、従業員への支払い義務が生じます。

しかしながら通勤手当の支給のルールは企業が定めて良いことになっています。そのため通勤の手段や距離、出勤日数など、企業が合理的と判断した内容で定めた規定が従業員の実情に合わないこともありえます。

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【4】通勤手当が「足りない」「納得がいかない」場合は?

通勤手当の規定は各企業によって決定されているため、手当が適正か否かと判断することは難しいところがあります。

手当の上限額や支給対象の交通手段などは会社によって千差万別だと思いますが、公共の交通機関を使用する時はあまり問題になりません。適正か否かが問題になるのは車やバイクなどで通勤している時のガソリン代や駐車場代などが多いようです。

例としては「通勤手当で支給されるガソリン代ではとても足りない」と労使間でトラブルになることがあるようです。業務の時間や勤務地の関係で公共の交通機関を利用できず、自家用車等を使う前提になっているようであれば、「会社に交渉をする」という手段に出てもよいでしょう。

また、公共の交通機関で定期代の支給を受ける場合は、合理的な経路として「最短ルートであること」を定めている企業がほとんどです。「通勤手当としてバス代をもらっているけれど、実は自転車で通っている」等の行為は不正受給とされることがありますので、心当たりがある人はご注意ください。