自称エリートの正体は?
「○○企業の△△部署勤めでしょ? それなのに何にも知らないなんて……」と母。「もしや、勤務といってもバイトかい?」とカマをかけると、顔を真っ赤にしたY子が宣言したのです。
「バイトじゃない、派遣社員よ!」これを聞いて父はうなずきました。「なるほど、派遣さんなんだね」
ちょうどそこに、とある男性が来店。それを見て、Y子は仰天。「な、なんで課長が八百屋に!?」とすっとんきょうな声を挙げたではありませんか。
「わざわざ悪いわね。あなたの部署の派遣さんのことでちょっとね……」と話だした母。そう、その男性は、Y子が派遣業務をしている職場の課長でした。しかし彼はY子を見ても気付かない様子。母が「この子、お宅の派遣さんよ」と言うと、「すみません、派遣さんは大勢いるから覚えられなくて……」と頭をかいています。
「ど、どういう関係?」と慌てふためくY子に、課長は言いました。「こちら、会長のご子息夫妻が営まれている八百屋さんだ。他にもレストランや大型スーパーなど、一族で展開されているグループ店舗は数えきれないほどあるんだよ」
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実は私…
そうなのです。Y子が自慢していた○○企業の会長は私の祖父で、この八百屋はグループ会社。ゆくゆくは企業を継ぐ私は、経営や接客を学ぶため、ここで経験を積んでいるのです。Y子は短期契約の派遣さんだったため、知らなかったようでした。
自分から言うのも何なので黙っていたのですが、課長がY子に告げました。「こちらのご令嬢は、会長のお孫さん。次期会長として、今はグループを転々としておられるんだ」
父と母は課長に向き直って言いました。「今日呼び出したのは、この人が八百屋や娘をバカにして、営業妨害をしていたから。他のお客様にも迷惑だったんだよ」