確定申告と聞くと面倒で難しく感じる人も多いでしょう。しかし近年の確定申告は、電子申告など、年々簡単に手続きができるように変わってきています。早くスムーズに終わらせるためにはどうしたら良いでしょうか?申告をする前の準備物や、日ごろからやっておきたいことについてみていきましょう。

確定申告で必要なもの

確定申告での必要書類は、会社員か個人事業主か、また、申告したい内容によって異なりますが、主なものとして次のようなものがあげられます。

確定申告書
青色決算申告書または収支内訳書
源泉徴収票
マイナンバーカード
銀行の口座番号
返信用封筒・切手

確定申告書

確定申告の用紙は、前年分の申告を紙の確定申告書で提出し、本年分も確定申告が必要と見込まれる人には郵送で届きます。年々便利になっており、スマホやパソコンを使ったe-Taxでの申告が増えていますので、e-Taxで申告している人は、申告のお知らせハガキが届くだけで紙の申告書は届きません。前年同様にスマホやパソコンで申告すると良いでしょう。e-Taxでの申告については後述します。

青色決算申告書または収支内訳書

事業を営み事業所得がある場合や、アパートなどを所有して家賃収入を得ており不動産所得がある場合に必要です。収入から必要経費を差し引いた所得を計算するための書類となります。

申告には、「青色申告」と「白色申告」がありますが、「青色申告」の場合は「青色決算申告書」、白色申告の場合は「収支内訳書」を提出します。

白色申告に比べ青色申告の方が複式簿記で詳細に経費などの計上が必要なため手間はかかりますが、その分、青色申告特別控除が受けられるようになります。青色申告をしたい場合は、初めて申告する前に届け出が必要です。

源泉徴収票

源泉徴収票は提出の必要はありませんが、申告書の作成時に使います。

マイナンバーカード

マイナンバーカードを作成していない場合は、通知カードやマイナンバーが記載された住民票の写しに加え、免許証やパスポート、健康保険証などを準備します。

銀行の口座番号

銀行口座は還付を受ける場合のみ準備します。申告すると後日、還付金が振り込まれます。

返信用封筒・切手

確定申告書を郵送で提出する場合の準備物です。郵送時に申告書(控)と切手を貼った返信用封筒を同封しておくと、受領印が押されたものが返送されます。きちんと提出できているかの確認だけでなく、ローンの申し込みや給付金の申請時に役立ちます。

なお、以前は申告書に押印欄があったため印鑑が必要でしたが、2021年分から廃止されています。

(広告の後にも続きます)

申告内容・ケース別で必要なもの

➀生命保険料、地震保険料を支払っている場合

死亡保険や医療保険、介護保険、個人年金保険等に加入している場合は、秋頃に保険会社から届く保険料控除証明書が必要です。それによって、生命保険料控除や地震保険料控除を受けられます。

国民年金保険に加入している場合

社会保険料控除を受けるためには、郵送で届く社会保険料(国民年金保険料)控除証明書が必要です。「ねんきんネット」で事前に電子送付希望と届け出をしている場合は電子交付されます。家族分を支払った場合も申告可能です。

➂親族を扶養している場合

配偶者や子ども(16歳以上)を扶養している場合は、配偶者(特別)控除や扶養控除を受けられます。手続きには、配偶者や子どものマイナンバーが必要です。ただし個人番号が分かれば良いため、納税者のように現物のコピーは必要ありません。

障害者や介護者がいる場合

納税者や扶養親族等が障害者である場合や一定の介護状態にある場合は、障害者控除を受けられます。証明書として障害者手帳または障害者控除対象者認定書が必要です。

医療費を多く負担した場合

年間で支払った医療費が10万円超(所得200万円未満の場合は所得金額×5%超)の場合は、医療費控除を受けられます。医療費の領収書やドラッグストアでのレシートが必要です。医療費の領収書は、健康保険から届く「医療費のお知らせ」でも対応可能です。

➅マイホームを購入した場合

マイホームの購入または、増改築をした場合は、一定の要件を満たすと住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けられます。この控除は、1年目は必ず確定申告でなければ手続きができません。必要書類は、次のようなものです。

・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・借入金年末残高等証明書
・土地や建物の登記簿謄本
・売買契約書または、建築請負契約書の写し
・住民票

尚、2年目以降、会社員の方は年末調整で手続きできます。

➆ふるさと納税などの寄附をしている場合

一定の寄附をしていると寄附金控除を受けられます。特に、近年利用者が増えているふるさと納税は注意が必要です。会社員で寄附先が5自治体以下の場合、「ワンストップ特例制度」を利用することで確定申告は不要になります。ただし、なんらかの理由で確定申告をすることになった場合、このワンストップ特例制度は無効となります。つまり、確定申告で改めて手続きをしなければ控除が受けられません。

申告時には、寄附金受領証明書が必要ですが、ふるさと納税ポータルサイトでダウンロードできる寄附先の一覧でも代用可能です。証明書をなくしてしまった場合や、寄附の件数が多い場合はポータルサイトでまとめてダウンロードすると便利です。