遺族年金がもらえなくなった後の学費に充てる


学費を積み立てる
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また、Mさんが専業主婦なのか、会社員なのかといった状況によって異なりますが、少なくともMさんに万一のことがあった時は、通常、夫に国民年金の遺族基礎年金が支払われることになります。

受取額は、第1子が高校を卒業するまで(正確には、18歳になって最初に迎える3月末まで)約130万円/年です。その後は、第2子の高校卒業までが約120万円/年、第3子の高校卒業までが約100万円/年と徐々に減額され、第3子が高校を卒業すると遺族基礎年金はなくなります。大学や専門学校といった自立まであとひと息という時期ですので、保険金はその時期の教育資金として役立てるというのも良さそうです。

特に私立大学であれば4年間の学費だけで500万円前後は必要なので、1500万円の死亡保険金は3人分の学費になります。ただ、それぞれの進路がどうなるかは分かりません。公立か私立かの違いだけでなく、家を出て一人暮らしをするのかどうか、大学ではなく専門学校に行くか、などでかかる費用も異なります。夫が保険金を受け取れば、3人のお子様の進路に合わせて柔軟に使うことができそうです。

子どもが独立した後に、もし保険金が残れば、夫から子どもに贈与するということもできるでしょう。また、生命保険の受取人は変更可能なため、保険契約当初は夫にしておいて、子どもが独立後も保険を解約していない場合は受取人を子どもに変更する、という方法もあるでしょう。

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受け取った保険金に税金はかかる?

なお、保険金は相続財産とみなされます。つまり、Mさんの預貯金などの資産と合わせて、相続税の課税対象となるというわけです。しかし、生命保険金には一定の非課税枠「500万円×法定相続人の数」が設けられています。つまり、Mさんが万一の場合は、2000万円(500万円×4名)までの死亡保険金は相続財産に含めなくて良いわけです。契約中の1500万円の保険金には相続税はかからないことになります。

さらには、相続税の計算では、預貯金などの相続財産全体から差し引ける基礎控除「3000万円+600万円×法定相続人の数」もあります。ですので、Mさんに万一があった場合、5400万円(3000万円+600万円×4名)までの相続財産は、そもそも非課税ということになります。

相続税の非課税枠があることから、日本で実際に相続税の支払いをしなければならないケースは、相続全体の1割にも及ばないのが実情です。長々と説明しましたが、Mさんのように、資産形成期である若いうちは、一般に相続税の心配はありません。まずは周辺知識としてお役立てください。