「格差」が現代社会の大きな問題になっていますが、私たちにとって平等なものが1つあります。それは「時間」です。皆平等に1日24時間、同じ時間が流れていきます。そして年を重ねていくことも、皆平等です。

皆さん自身はもちろん、皆さんのご両親も年を重ね、そして老いと向き合っていくことになります。特に高齢化する日本社会において、老後どのように過ごすか?ということは大きなテーマでもあり、そして同時に介護との向き合い方も大切なポイントとなります。今回は、いざ親の介護が必要になったとき、どれくらいのお金が必要なのか、公的な介護保険制度はどのようなものがあるか、介護のお金事情について解説していきます。

日本の要支援、要介護者は600万人以上

介護保障への必要性の高まりから、2000年に公的介護保険制度がスタートしました。当時は「要支援(日常生活をおくる上で多少のサポートが必要)」「要介護(1人では生活が難しく、誰かの介護が必要)」に認定されていた人は200万人程度。その後、2015年にはその3倍にあたる600万人を突破しています。そして2020年末には680万人に達しています(厚生労働省・介護保険事業状況報告/令和2年12月暫定版

今後も一段と介護を必要とする人が増えていくことが見込まれています。その中には皆さんのご両親や大切な人も該当するかもしれません。両親が元気に生活している段階から真剣に介護に備えて対策を行うという発想に、今はなかなかたどり着かないと思いますが、両親はもちろん、自分自身も思わぬ事故や病気で介護を必要とする日が来るかもしれません。興味関心を持ち、介護の現状を知るだけでも対策をしていることにつながります。

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介護期間の平均や月々の介護費用はいくらぐらい?


介護にかかるお金
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生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)によると介護期間の平均は54.5カ月となっています。介護を始めてからの期間なので、今なお介護に向き合っている人も含みます。10年以上という回答も14.5%を占めています。

いざ介護が始まると、長期戦になるという覚悟はしておく方が良いでしょう。では、その長期戦を乗り切るためにはどれだけのお金が必要でしょうか?

同調査によりますと介護が始まった際の一時的にかかった費用の平均は69万円となっています。バリアフリーのための住宅改修や介護用品の購入費用などがそれにあたります。「かかった費用なし」~「15万円未満」と回答した割合が34.8%と高く、住環境などが整っている場合、特にまとまった費用が必要ないことも想定されますが、できれば平均の69万円程度はすぐに用意できる準備はしておきましょう。

一時金よりも問題なのは介護の月額費用です。月々の介護費用は介護する場所によって以下のように大きな開きがあります。



 
やはり施設を利用する場合は在宅の2倍以上となっています。なおここまでの金額は公的介護保険制度を利用した上での金額です。言い換えれば公的介護保険制度のおかげで、これくらいの金額負担で介護生活を送ることができるのです。