紙幣のスマートな渡し方
以前、日本から訪れた団体客をある施設に案内した時のこと。ツアーが無事に終わり、私は心付けとしてガイドをしてくれたスタッフにチップを渡すよう参加者に伝えたところ、どうも紙幣の渡し方に慣れていないようで、紙幣を折り畳まずそのまま堂々と渡していました。この時に、チップは日本にない習慣だから馴染みがなく、スマートな渡し方を知らないのだと知りました。
チップでなくとも、正月のお年玉や金銭の返却などで、日本でも現金を渡すシチュエーションはあります。女性ならぽち袋を使って、中身の金額を隠す人は多いでしょう。
アメリカにもそのような袋がないわけではありません。この国はカード文化なので、女性であれば素敵なカードと一緒に封筒(もしくは事務的なただの封筒)に現金を入れ、渡したりすることはあります。(男性はそのような目的で封筒を使いません)
例えば、対美容師や配達員など日常的にチップを渡すシチュエーションでは、チップとして紙幣をそのまま直接手渡しします。ただしこれ見よがしに渡すのではなく、紙幣を3つか4つに細かく畳んで片手でそっと(ほかの人に見えないよう)渡すのがスマートな渡し方であり、相手への礼儀だと筆者は考えます。素敵なぽち袋にわざわざ入れる必要はありませんが、決して紙幣を伸ばしたまま堂々と渡さないのが暗黙のマナーとなっています。
レストランでは帰り際に紙幣をそっとテーブル担当者に渡すか、テーブルの上に置いて退店しても良いでしょう。(屋外の場合は風で吹き飛ばされないように、紙幣の上にコップなど重りを乗せておくと安心)
そのほか、ホテルの清掃員などに渡す場合は、サイドテーブルや枕元にチップを置いて外出すると良いでしょう。
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クレカに含める渡し方も
【画像出典元】「Maxx-Studio/Shutterstock.com」
チップの渡し方としてもう一つ、主流の方法があります。それはバーやレストランなどでクレジットカードやデビットカード払いをするときに渡されるレシートに数字を記入する方法です。そこにはチップ欄と合計欄が空白になっていますから、チップの額を直接書きましょう。
またテーブルで渡されるものとしてここ数年で増えているのは、レシートではなく小さな端末です。この場合、その端末に直接指でタップ(もしくはタイプ)してチップ額を選びます。(Apple PayやGoogle Payなどモバイル決済であっても、クレジットカード払いと同様に端末に入力します)
ちなみに大手コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーによると、アメリカのデジタルペイメントの利用率は2022年時点で89%に達し、標準的な決済方法の一つになっているという情報もあります。