チップのパーセンテージは?
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ではチップは金額の何パーセントを支払えば良いのでしょうか。
エチケット講師の声やいくつかの情報をまとめると、アメリカでのチップは15~20%というのが定説です。
しかしコロナ禍以降はチップのパーセンテージの選択肢が18%からスタートし、20%、25%、30 %の幅になっていることも増えました。もちろん、サービスに満足しなかった場合は10%や15%などをマニュアルで選ぶことはできるようになっています。ただ、小さな端末を渡される際、担当の店員が目の前にいるので、慣れていない旅行者などは焦ってしまうでしょう。ここは焦る必要はなく、冷静にチップを選べば良いのです。
また18%からスタートし20%、25%…の幅も、あくまでも店側の「提案」なので、必ずしもその額のチップを支払う義務はありません。大切なのは自分が納得した心付けの額を贈るという気持ちでしょう。
ちなみにピュー研究所の調査結果に基づいた昨年のCNBC報道によると、アメリカ人がもっともチップを支払うシチュエーションは着席スタイルのレストランで、パンデミックで飲食業界が苦境に陥る中、人々はコミュニティの人々を助けるためにチップの支払いに寛大になりました。それで前述の18~25%の選択肢に移行したのです。
ただ最近では、チップが自動的にレシートに入力されている例もいくつか見られます。筆者もレストランやバーでレシートをよく見ると、そのような例が増えたと実感しています。そして「チップフレーション」や「チップファティーグ(チップ疲れ)」という言葉まで出てきています。チップフレーションというのはインフレーションから生まれた造語で、インフレの進行によりさらにチップに頼る企業や労働者が増えていることから生まれました。
一方で専門家によると、レストランでチップを払う人々の意欲が低下している動きも見られチップ廃止を求める声も根強いということです。実際の調査結果でも、客の半数以上が支払ったチップは15%もしくはそれ以下だったと報じられました。
またチップを払う目的は、サービスの質への対価ではなく、社会的な承認(エチケット、義務、ディナーを共にする人への見栄など)という意見も。つまり「チップを払う=承認を買っている」という感覚があるのだとか。
このようにやや複雑な事情や背景が見え隠れするアメリカのチップ文化。一方日本はチップ制がなくても提供されるサービスの基準が得てして高いですよね。チップに頼らなくても質の良いサービスを受けられる日本の素晴らしさを改めて認識したのでした。