愛子さま就職後「将来的な留学」の実現可能性とは…初日でフォロワー35万人超「宮内庁インスタ」もカギに?

4月1日、天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(22)が就職先の日本赤十字社へ初出勤した。今後は皇族としての公務と両立しながら、常勤の嘱託職員として配属先の「青少年・ボランティア課」でボランティアの育成などに務めるという。

制約の多い皇族方にとって、大学生活はおそらく人生でもっとも“一般的な自由”に近い空気を感じられる貴重な時間だ。しかし先日、学習院大学を卒業された愛子さまの場合、新型コロナウイルスの流行によってキャンパスへの通学が制限されたことから「ご卒業後は大学院進学や海外留学をされるのでは」との見方も多く、ご本人が「就職」という道を選択されたことを意外に感じた人も多いのではないだろうか。

日赤への就職は「愛子さまなりの自由の行使」

「大前提として、愛子さまは今回、進学や留学を希望されていたのにかなわなかったのではなく、あくまで主体的に、愛子さまなりの自由を行使して就職という人生の選択をしたということを忘れてはいけません」

こう話すのは、皇室研究者の高森明勅氏。愛子さまは大学ご卒業にあたって、宮内記者会からの「将来的な海外留学や、大学院進学の希望はお持ちでしょうか」という問いに対し、「将来の勉学については、現在のところ具体的には考えておりません」と文書回答している。

しかし、もし今後改めて海外留学や大学院などで学びたいと希望された場合、愛子さまにそれを実現する「権利」はあるのだろうか。

「皇族の権利について考えるとき、やはり一番大きな枠組みとなるのは日本国憲法です。

憲法で天皇という地位については第1章に規定されていますが、明文化されていない天皇・皇族の具体的な自由や権利がどこまで認められるのかについては、長年にわたってさまざまな説が唱えられてきました。

もちろん、第3章で権利と義務が保障されているわれわれ国民と等しく扱うことには無理がありますが、だからといって『“国民”でない以上、憲法上の地位にともなう特権と義務以外は認めない』というのは、あまりに乱暴です。

たとえ天皇(皇族)であっても、憲法の制度に絶対的に抵触しない限りは、人間としての根源的な自由や権利が尊重されるべきだというのが、健全な考え方ではないでしょうか」(高森氏)

天皇・皇族の自由と権利「国民にかかっている」

憲法が天皇(皇族)に課している制約とは「象徴(第1条)」「皇位の世襲継承(第2条)」「国政権能の否認(第4条1項)」であり、このうちもっとも“厄介”なのが「象徴」だと、高森氏は指摘する。

※ 第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
※ 第2条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
※ 第4条1項 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。

「自由や権利が国民にきちんと認められている国の『象徴』であるならば、その方たちだけが奴隷的な苦役を強いられるような、忍従の日々を送らされているという状況は逆にふさわしくありません。

現在の法制度の中では、象徴にふさわしい行動、ふさわしくない行動という線引きが非常にあいまいであり、ややもすれば本来認められてしかるべき自由や権利が過剰に制約されかねません。

たとえば、今回愛子さまが進学や留学をしなかったという主体的な選択が逆に規範化して、『愛子さまでさえ留学されなかったのに…』という空気が作られることは絶対に避けなければなりませんし、もし愛子さまが今後改めて留学などを望まれたときに『幻滅した』といった声が寄せられるのも、まったくの筋違いです」

象徴とは具体的にどういったものなのか、明文化こそされていないものの、第1条が天皇(皇族)の地位について「主権の存する日本国民の総意に基く」としているように、天皇や皇族の自由や権利については「国民の支持」が影響するところが非常に大きい。

「結局は、国民が日本国の象徴、日本国民統合の象徴にふさわしい振る舞いや生活のあり方はどうあっていただきたいと考えるかにかかっていると思います。

象徴天皇のご一族である皇族方の自由や権利についても『この程度は当然認められなければおかしいでしょう』という国民の意識が成熟することによって、愛子さまをはじめとする皇族の方々の生活も格段に自由になるはずです」(同前)

宮内庁は1日、インスタグラムの公式アカウント(@kunaicho_jp)を開設した。初日時点でフォロワーは35万人超、現在もその数は伸び続けており、国民の関心の高さがうかがえる。記念すべき初投稿は、今年1月1日に新年をお迎えになった天皇皇后両陛下と愛子さまのお写真。続いて、今年に入ってからの両陛下の活動の様子が複数投稿されている。

高森氏はこれについて「国民の共感を呼ぶようなお姿を断片的にでも開示していくことで、皇室の方々の自由や権利について、トップダウンではなくボトムアップで自然に受け入れられる空気が広がっていくのではないでしょうか」と期待を寄せている。