筆者の私案:高齢者の最低賃金を撤廃できる企業を選別する


働くシニア男性
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日本人の平均賃金が低いのは、平均賃金が安い会社で働いている従業員が多いためです。平均賃金が安いのは、会社の経営効率が悪く利益率が低いからです。つまり、高い賃金を支払いたくても支払えないのです。

下図をご覧ください。



 
<引用元>
中小企業庁作成「2018年版中小企業白書」より一部抜粋
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/html/b1_3_1_1.html

中小企業で働く従業員一人当たりの労働生産性を大企業のそれと比べると、中小企業側は業種に関係なく半分以下の付加価値額しか生み出せていません。これは、大企業で働く従業員の方が中小企業で働く従業員よりも倍以上優れているからではなく、大企業の方が中小企業よりも経営的に優れている企業が多いためです。

もし、すべての企業がこの大企業並みの労働生産性であれば、日本人の平均賃金は今よりずっと増えているはずです。逆に言えば、すべての企業が中小企業であれば、日本人の賃金は今よりもっと低くなっていることでしょう。

したがって、高齢者の安価な労働力が経営効率の悪い中小企業を中心に提供されてしまうと、経営効率を改善することなく、「何となく」高齢者の労働力に依拠することで生き残ってしまう企業が増えてしまいます。これでは、ここで働く従業員の給料が伸びていくことはありません。

ですから、高齢者の安価な労働力を活用できる企業は経営効率の高い企業のみに絞り、1社でも多く強い企業を育てるための起爆剤とします。

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筆者の私案:予防医療の充実により高騰する医療・介護費用を抑制する


運動するシニアたち
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財務省が公表している資料 によると、医療には年間40.7兆円、介護には12.7兆円もの税金が使われており、これは今後さらに増えていくと考えられます。少子高齢化という構造的な問題を、小手先だけの仕組みや税法だけで解決できるとは到底思えません。そこで、予防医療を充実させ、医療費や介護費用を何とか長期的に抑える方法を考えてみます。

高齢者の最低賃金を撤廃した企業に高齢者向けの福利厚生制度を義務付ける

65歳以上の高齢者の最低賃金を撤廃して雇用している企業に対し、当該高齢者への福利厚生制度の拡充を義務付けます。具体的には、以下の制度を各企業に導入してもらいます。

健康診断の義務化
癌検診の義務化
栄養バランスの考えられた食事(1日につき1食)の提供
運動の時間を作る

健康診断や癌検診の受診を徹底すれば、病状が進行する前に治療を行うことができます。これにより、医療費の削減を目指します。具体的には、自治体などと連携し、高齢者の受診を徹底します。

同時に、栄養バランスの考えられた食事の提供と適度な運動により、病気になりにくい身体作りを習慣づけ、医療費や介護費用の抑制につなげます。また、これらに必要な費用の一部は国や自治体などが補助し、企業が継続的に行えるようにサポートします。

これらの政策を継続することにより、【医療費や介護費用の高騰】を抑制します。