転職が一般的になりつつあり、働き方が多様化しています。ワークプランは人それぞれですが、いったい会社員の生涯年収はどのくらいなのでしょうか。生涯年収の平均値や学歴による違い、転職時の生涯年収への影響などについてみていきましょう。

サラリーマンの生涯年収の平均・中央値は?

最初に、正社員全体の生涯年収からみていきましょう。転職サービスdodaが行ったアンケート調査(正社員の年収中央値は?年齢別・都道府県別にも解説-平均年収ランキング【最新版】)を参考にします。

<生涯年収の平均値・中央値>

図表:転職サービスdodaのデータを一部抜粋し筆者作成

この調査によると、生涯年収の平均(推計値)は2億2112万円とのこと。これは、22歳から65歳まで正社員として働き続けた場合です。3億円、5億円と生涯分の収入を1年で稼ぐプロ野球選手がいかに凄いかを感じますが、そうは言っても、私たちの生涯年収も「億」という単位に到達します。人によって退職金があったり、離職して働いていない期間があったりする場合もありますが、この調査では加味されていません。

また、男女別でみると、男性2億4591万円、女性1億7505万円となっており、男性の方が約7000万円多いことも分かります。男女間の仕事内容の垣根や賃金格差は徐々に解消されているものの、まだ浸透してないことや、女性は出産や子育てでキャリアを中断するケースがあることが影響していると言えそうです。

なお、生涯年収はあくまで平均値のため、年収が高い人によって平均が引き上げられる傾向があります。中央値(生涯年収を金額が低い順に並べ、ちょうど真ん中にくる値)も合わせて確認しておきましょう。生涯年収を中央値でみると、正社員全体では、1億9140万円です。平均値より約3000万円少ないことが分かります。男女別の中央値は、男性2億2200万円、女性1億5420万円です。男女差は約6700万円ですので、平均値でみた男女差より約7000万円縮まっています。

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学歴別でみた生涯年収はどう変わる?

次に、学歴別で生涯年収をみていきましょう。こちらは、独立行政法人労働政策研究・研修機構による「ユースフル労働統計2023」で確認します。

図表:独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2023労働統計加工指標集」より一部抜粋し筆者作成

60歳まで正社員で働き、退職金を含めた場合の生涯年収は、高校卒の男性が2億300万円、女性が1億4920万円です。

高専・短大卒、大学卒と最終学歴が上がるにつれて生涯年収は増え、大学院卒になると、男性3億円台、女性で2億円台と大台を超えています。やはり、高学歴であるほど収入が高くなっています。高卒と大学卒で比較すると、男女ともに約5000万円の開きがあるようです。