裁量労働制とフレックスタイム制では労働時間・給与の取り扱いが違う


労働時間
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裁量労働制とフレックスタイム制は、どちらも働く時間に自由度がありますが、その違いは何でしょうか。

大きな違いは、労働時間と給与の扱い方です。裁量労働制はあらかじめ労使間で定めた「みなし労働時間」を働いた時間とするということであるのに対し、フレックスタイム制は、1カ月、2カ月というような一定の清算期間によって総労働時間が管理される点が異なります。また給与の支払額は、裁量労働制の場合では、実際の労働時間に関係なく決められた額が支給されますが、フレックスタイム制は、実際に働いた時間に対して支払われます。

一般的にフレックスタイム制は、「コアタイム」という必ず出社して勤務しなければならない時間が設定されています。その点も会社から勤務時間について指示を受けることがない裁量労働制とは異なります。

このように裁量労働制とフレックスタイム制は、労働時間の考え方、計算方法が似ているようで全く異なるものです。

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裁量労働制、フレックスタイム制の残業代は出る?

それでは、裁量労働制やフレックスタイム制で働く場合、残業代はどうなるのでしょうか。

裁量労働制の残業代の取り扱い

裁量労働制は、基本的に残業代は発生しません。それは、実際の労働の有無に関わらず働いたとみなす所定労働時間が定められているためです。しかし、所定労働時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える場合や、法定休日(週休2日など会社の休日)に働いたり、深夜労働をしたりした場合は、残業代、割増賃金が支払われるようになっています。

フレックスタイム制の残業代の取り扱い

一方、フレックスタイム制はどうでしょうか。こちらは、清算期間という一定の計算期間の枠内において決められた労働時間を超えて働いていた場合は、残業代が支払われるようになります。この清算期間は月単位で、最長3カ月となっており会社によって異なります。更に、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働いた場合は、残業代として25%上乗せされた割増賃金も支払われます。

例えば、清算期間を1カ月単位と2カ月単位とする場合、法定労働時間の総枠は次のようになります。

(1カ月単位の法定労働時間の総枠)
清算期間31日・・177.1時間
清算期間30日・・171.4時間
清算期間29日・・165.7時間
清算期間28日・・160.0時間

(2カ月単位の法定労働時間の総枠)
清算期間62日・・354.2時間
清算期間61日・・348.5時間
清算期間60日・・342.8時間
清算期間59日・・337.1時間