朝から晩まで楽しみの尽きない京都さんぽ。往々にしてランチとディナーは事前に考えていくものの、合間の休憩は行き当たりばったりになりがち。見渡せば何かしら入れそうな店の見つかる街中や名所の近くは混雑必至だし、住宅街なら何も見つからずさまようことになる。あてもなく歩くのも楽しいけれど、せっかくならひとやすみできる場所が頭に入っていると安心。本誌連載「&Kyoto」の「京都さんぽ部」部長で、現地在住ライター、コーディネーターの大和まこさんが、モーニング、昼の食休み、おやつ時、夕方の0軒目、夜喫茶の5つのシーンでひとやすみアドレスを教えてくれました。


いい音が楽しめる『喫茶 百景』。


西院で深夜まで明かりを灯す『喫茶フロント』。

夜、遅くまで開いてる喫茶でひとやすみ

 明るい時間から飲める店が増える一方で、夜に飲まないで過ごすという選択肢に応える店が増えてきた。

 四条河原町にいるなら阪急電車で3駅。西院にある『喫茶フロント』は18時から24時まで営業する夜喫茶。店主の苗村健史さんが両親の始めた店を継ぎ、2022年からは夜営業のスタイルに変えた。赤いビロードの椅子が印象的な、昔ながらの空間は気取らず落ち着く場所。ゆったりと夜のひとときを満喫したい。

 街中の夜カフェは個性豊か。モダンな空間に自家焙煎コーヒーとケーキを揃え、あくまでも喫茶というスタイルを貫く『喫茶 百景』。2023年に登場した『ユーフォー』は自家製アイスクリームをメインに、カフェづかいもバーづかいも可能な店。御所南へと足を延ばして訪ねたいのは『カフェ ビブリオティック ハロー!』。町家リノベのカフェの先駆けとして、20年以上が経った今も変わらない人気を誇る。

 最後に紹介するのは京大と哲学の道の間にある『深夜喫茶 しんしんしん』。誰かの家を訪ねたような不思議な空間がビルの2階にひっそりと。本を読みながら、ネルドリップコーヒーと更け行く夜を過ごしたい。

喫茶 百景
深めのコーヒーは『自家焙煎珈琲 ガロ』のものを使用。音楽のイベントも。京都市中京区富小路通錦小路下ル西大文字町601 2階 075‒746‒6950 13時〜翌1時(24時30分LO) 無休

喫茶フロント
喫茶店のちょっと固めのカスタードプリン450円。夜ランチなど、ボリュームある料理も人気が高い。京都市右京区西院巽町3 075‒312‒1619 18時〜24時(23時LO) 水休

ユーフォー
ガラスのうつわで登場するアイスクリームがキュート。カヌレも。京都市中京区伊勢屋町346 5階 なし 19時〜24時(23時LO) 不定休 営業の詳細・問い合わせはInstagramにて。

カフェ ビブリオティック ハロー!
ヴィンテージ家具を組み合わせ、まったりと落ち着いた空間。壁一面の本棚の本は自由に手に取って過ごせる。京都市中京区晴明町650 075‒231‒8625 11時30分〜23時LO 無休

深夜喫茶 しんしんしん
ネルドリップのコーヒー650円。小上がりのような席も。京都市左京区北白川久保田町57‒162階 080‒6686‒1440 20時〜翌3時 不定休 営業の詳細はXにて。喫煙可。

「京都さんぽ部」部長、ライター、コーディネーター。 大和 まこ

「京都さんぽ部」部長。ライター、コーディネーター。京都暮らしも、もはや25年目に。連載「&Kyoto」は2022年に100回目を迎えて継続中。京都の景色や、食べたもの、買ったものをInstagram()で発信している。

&Premium No. 124 Kyoto Solo Trip / やっぱり、ひとりでも京都。

京都の街を巡り歩くとき、なぜこんなにも心が浮き立つのでしょうか。風情ある神社仏閣や庭、精緻な工芸品を扱う店や美しい佇まいの町家に出合ったかと思えば、そのすぐそばには個性的なコーヒーショップや書店、ギャラリーや生活道具の新店が。長い歴史の中で脈々と息づいてきた伝統と、新しいカルチャー、そして〝ふだんの表情〞を、さらりと共存させる街、京都。今号は、ひとりでも楽しめる京都、そして、ひとりだからこそさらに楽しい京都を案内します。

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