音楽家・大橋トリオさんが選ぶ土曜の朝と日曜の夜の音楽。vol.4

April.26 – May.02, 2024

Saturday Morning

Title.
You Don’t Have To Cry
Artist.
Crosby, Stills, Nash & Young 1998年ケイト・ウィンスレット主演の映画『グッバイ・モロッコ』。10日間でモロッコを車でほぼ半周するという工程、完璧な食あたりによってその内の7日間を移動の車の最後部座席で寝て過ごすはめになった。壮大な景色よりも、その記憶が主であるため多分あの時の車(「ランドクルーザー100」)は天井を見ただけで当てられると思う。最終的には酒場？で見つけてきてくれた多分酔っ払っている自称医者のモロッコ人にホテルの部屋でお尻に注射を打ってもらいみごと翌日回復した。とまあそんな自分自身のモロッコ体験がまあまあ壮絶でその記憶の方が鮮明ということもあり、映画の内容は正直今となってはあまり覚えてないのだが、この曲が映画のエンディングテーマ史上最も記憶に刻まれているといって過言ではない。もし食あたりとかそういうのがないという保証があるとしたならばまた絶対に行きたい国なんだけどなぁ。
アルバム『Crosby, Stills & Nash』収録。

Sunday Night

Title.
Prayer
Artist.
矢野顕子矢野顕子さんの全曲ピアノ弾き語りのカバーアルバム『SUPER FOLK SONG』。このアルバムを聴くとき、いや、拝聴するときは、部屋を暗くしてステレオの前に正座、音量はそこそこ大きめにして、そして目を瞑る。大きなホールで客席には最前列に座った自分しかいない。まるでご本人が自分だけのためにパフォーマンスしてくれているかのようだ。歌もピアノの演奏も同時に録音、しかも後半だけやり直すというような編集は一切しない、いわゆる一発録りというこだわりを最後まで貫き通したという。間違えたり納得できない箇所が少しでもあれば、最初から録り直す。その一発録りという説得力こそがこの臨場感や感動を生み出すことに繋がっているのは間違い無い。このアルバムの制作過程を記録したドキュメンタリー作品『SUPER FOLK SONG ピアノが愛した女』このBlu-rayはもはや我が家では家宝と言えます。これに憧れすぎて、矢野さんとのコラボレーションの機会をいただいた際に、ぜひ一発録りをさせてくださいとお願いし、実現した曲「窓 feat. 矢野顕子」も是非聴いていただきたい。
アルバム『SUPER FOLK SONG』収録。

&Music ／土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ

音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。