株式市場で有名なアノマリー(経験則)として、「セル・イン・メイ(5月に株を売れ)」という言葉があります。この記事では、アノマリーとはどういう意味なのか、そして本当に「セル・イン・メイ」というアノマリーは正しいのかについて解説します。

アノマリーとは

アノマリーとは、投資の理論では説明できない相場での経験則のことです。アノマリーの代表的な例として、「小型株効果」があります。株式は流動性(売買のしやすさ)と時価総額(株価×発行済み株式数)によって、「大型株」「中型株」「小型株」に分けられます。

そして、小型株とは、流動性や時価総額が低い銘柄のことです。国内株の9割は小型株といわれていて、一度注目が集まると価格変動が大きくなるという特徴があります。そして、「小型株効果」とは、小型株で構成されたポートフォリオ(保有する資産)は、大型株や中型株などを組み入れたポートフォリオよりもリターンが高くなりやすいという現象です。

現在の投資理論では、株価は大型株・中型株・小型株にかかわらずに決まるとされていますが、小型株のリターンが高くなるという傾向があるのです。

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季節ごとのアノマリー


株式チャート
【画像出典元】「stock.adobe.com/Akira Kaelyn」

季節ごとのアノマリーも有名です。たとえば、「1月効果」や「節分天井・彼岸底」「サンタクロース・ラリー」などがあります。

1月効果とは、株式市場で1月の収益率がほかの月よりも高くなりやすい現象のことです。特に小型株でその傾向が見られます。年末に税金対策として売りが出る一方、年明けには新規の資金が流入しやすいことが原因といわれています。

次の「節分天井・彼岸底」とは、年明けから上昇していた株式市場が2月の節分の時期に高値をつけ、3月の彼岸あたりで底を打つというアノマリーです。新年の資金流入が2月には一服して天井をつけ、3月期の決算対策で売りが出やすくなる3月20日頃まで株価が下がり続けるというアノマリーです。

最後の「サンタクロース・ラリー」とは、特に米国の株式市場で見られる、クリスマスから新年1月にかけて株価が上昇する現象のことです。米国人投資家も、12月は税金対策によって株式を売る傾向がありますが、クリスマス以降は投資家も休暇に入り、売り圧力もなくなります。

ですから、年末から1月にかけて株価は上がりやすくなるのです。