山口県警は先月、警察官のサングラス着用と、コンビニエンスストアなどへの立ち寄り警戒時の制服姿での飲食物購入を認めると発表した。運用は先月から始まっている。
県警担当者によると、サングラス着用とコンビニ利用については、県下に発出された通達の中で明文化しているとのことだ。
これまでも「明確に禁止されていたわけではない」が…
サングラス着用と制服姿でのコンビニ利用の取り組みが報じられると、ネット上では理解を示す声や歓迎する声がみられたが、なかには「遅すぎ」「今までダメだった理由がわからん」「今もダメな県警は見直してほしい」との声もあった。
こうした意見について、山口県警の担当者は次のようにコメントした。
「サングラス着用とコンビニ利用はこれまで、明確に禁止されていたわけではありません。
ただ、警察の訓令上『身だしなみを端正にし、品位の保持に努める』と定められており、この訓令の中で、サングラスの着用をどううまく当てはめるのかについては疑念があり、これまで全体的に控える風潮がありました。
また、コンビニの利用についても、そういった警察官の姿を見て県民の方から『勤務中に休んでいる』と誤解される可能性があるので、控えていました」(山口県警担当者)
着用できるサングラスの“条件”
では今回、サングラス着用とコンビニ利用を“制度化”した背景には何があったのか。
「サングラスの着用に関しては、他県警ですでに健康被害防止や、太陽の直射日光・乱反射による交通事故防止のために着用を認めているところがあり、組織として必要性を感じその事例を参考にしました。
コンビニの利用については、これまで警察官が休憩時間に上着を着用するなどして、コンビニで飲食物を購入していたという例がありました。
さらに、警察官は休憩が取れない時もありますし、長時間街頭で活動をしたりして、 食事の時間が確保できなかったり、夏場であれば水分補給がなかなかできなかったりします。
そこで、コンビニへの立ち寄り警戒時に同時に飲食物などを買えるようにすることで、 効率的に休憩時間を取ったり、勤務したりできるようにするため、制度化に至りました」(山口県警担当者)
ただし、着用できるサングラスには条件があるという。
「警察職員として品位を保つうえで、華美なものや、奇抜な形状・色調のもの以外であれば着用可能としています。
ですので黒とか茶色以外の、たとえば暴走族や暴力団員がかけていそうな、金色でギラギラしたようなものなどはダメです」(同前)
こうした条件についても、全警察官に周知されているとのこと。またコンビニ利用に関しても、以下のようにルールが定められている。
「必要に応じて警察官の身分を明らかにするとともに、来店されたお客さんや店員さんへのあいさつ、防犯指導の声かけなど、立ち寄り警戒を実施した後に飲食物を購入するよう定めています。
また、購入できる物品についても必要最小限の飲食物や、応急で必要となる衛生用品といったものに限定しています」(同前)
山口県警の担当者によると、今回の制度化について現場の警察官からは「交通取り締まり時の視認性が良くなった」「効率よく買い物ができて助かる」との声があがっているそうだ。
また、運用を開始して間がないことから「サングラス着用やコンビニ利用について県民から違和感を抱かれる可能性もあり、今後も広報等で丁寧に説明していく」という。
山口県警以外でも同様の取り組み
山口県警の調査によると、3月時点で、同県以外では富山、福井、千葉、兵庫、長崎、沖縄の6県で警察官のサングラス着用が認められている。またコンビニの利用も、2022年に大分、2023年に福井で認められるなど、30近くの警察で実施されているという。
こうした取り組みが広がり、警察官が安全に効率よく勤務できるようになれば、犯罪抑止にも期待が持てる。そして、そのためにはわれわれ一般市民の間で「理解」を深めることも必要だ。