宮古島「路上寝」年間760件超 「泥酔して道路で…」警察が指摘する“一番の原因”とは

宮古ブルーと呼ばれる美しい海に囲まれた宮古島で、“絶景”とはほど遠い光景がたびたび目撃されている。泥酔者の「路上寝」だ。

今年のゴールデンウィーク、沖縄旅行は好調で、ANAが公表している沖縄方面の予約数は前年比114.4%。HISの旅行予約動向調査でも、国内旅行の予約者数が前年に引き続き1位となっている。現地で「旅行中に路上寝している人を見かけた」という人もいるかもしれない。

通常、警察署や交番の前には「交通事故件数」が掲示されているが、宮古島警察署にあるのは「路上寝発生件数」の表示板。なぜそれほど路上寝する人が多いのだろうか。

路上寝問題“一番の原因”は…

宮古島警察署によれば、令和に入ってからの路上寝発生件数は以下の通り。

令和元年:705件
同2年:629件
同3年:450件
同4年:686件
同5年:762件
同6年(1~3月):134件

新型コロナウイルスの感染拡大によって一時期は減少したものの、昨年からコロナ前を上回って増加している。ただし同署によれば、路上寝の問題は以前から言われていることであって、ここ数年で急に増加したわけではないとのことだ。

同署の担当者は、その背景として「多量飲酒」を指摘する。

「宮古島に限らず沖縄県全体に言えることだとは思いますが、飲酒の機会が多いこと、そして同一機会に飲むアルコールの量が非常に多いことが一番の原因だと考えられます。

このことから、役所や保健所といった関係機関と連携して、深酒をせず適正飲酒するよう呼びかけを続けています」

啓発活動の事例としては、飲酒“する側”である企業や団体を「適正飲酒推進優良事業者」として認定するという制度がある。また、地元のコミュニティラジオにも路上寝発生件数の数値を提供して呼びかけを行い、市民に対して路上寝防止の周知をはかっているという。

死亡事故も発生

路上寝は、事件や事故に巻き込まれるリスクもある非常に危険な行為だ。沖縄県警察が公表している「令和5年版交通白書」によれば、昨年は路上寝による事故(※)が8件発生し、うち1件は死亡事故となっている。

※ 白書における名称は「路上横臥(おうが)事故」。道路上に泥酔や居眠りなどで横たわっていたり座り込んでいたりした場合に発生した事故

交通事故に占める割合は全国平均(0.10%)の2.7倍となる0.27%。発生時間帯は20時〜翌6時がもっとも多く、死亡事故は2〜4時に集中しているという。

また事件や事故に巻き込まれるほか、「道路における禁止行為」を定めた道路交通法第76条に違反するリスクもある。同条の罰則は「5万円以下の罰金」。もし有罪となって刑が確定すれば、懲役刑や禁錮刑などと同じく「前科」として扱われることにもなってしまう。

宮古島警察署では現在のところ、道路交通法違反による路上寝の検挙事例はないとのことだが、担当者は「警察の指導や指示に従わずに路上寝を繰り返している場合は、検挙を検討することも必要かなと考えている」とした。

この先、宮古島への旅行を予定している人は、旅先の開放感から思わず飲みすぎてしまうこともあるかもしれない。いくら屋外が快適な気温でも、宿までの帰り道でつい寝込んでしまう…ということがないよう、気を引き締めるべきだろう。

前出の担当者は「路上寝は事件や事故の被害に遭う危険性が非常に高いので、節度ある適度な飲酒に努めていただきたいです」と呼びかけた。