豚肉が具のグリルドサンドが登場。
春がやってきたと喜んでいたのも束の間、また冬に戻ったかの天気になったところで、豚肉が具のグリルドサンドがメニューに掲げられたのを見て、再訪した。気温は冬に舞い戻っても、春の食材はすでに出回っており、その日の味付け役は、行者ニンニクとセロリ、レモンゼストを合わせたグリーンソース。ハチミツにトマト、シードル・ヴィネガーなどでマリネしてから3〜4時間じっくり火を通した豚肉をほぐして、その上に敷き詰め、上に大きな葉のほうれん草が1枚。すでに、レタス類も出回っているけれど、そういった水分の多い葉野菜ではなく、ほうれん草であることに新鮮な驚きを得た。たしかに、パンが水っぽくもならないし、豚肉の味も薄まらない。なるほどなぁと味わいながら、誰かの家でごはんをご馳走になって、いわゆる定番のおかずに自分では組み合わせたことのない具材を発見したときのような気分になった。
ブロッコリーの温サラダ、ピーナッツとケッパーのソース。これもおいしかった。グリル野菜がサイドメニューにあるのもうれしい。
暖かくなったら出番の増えるフォカッチャは、自家製らしい。まだ、フォカッチャサンドは食べたことがないのだ。それもきっと、日常に寄り添うおいしさで、そして、こういう合わせ方があったかぁとハッとするポイントがあるのだろうと今から楽しみにしている。
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『KIOSK』
18 rue Saint-Fiacre 75002 なし 9:00〜17:00 土日休 サンドイッチは1種類で毎週替わる。具に合わせて使うパンも替わる。
文筆家 川村 明子
パリ在住。本誌にて「パリのサンドイッチ調査隊」連載中。サンドイッチ探求はもはやライフワーク。著書に『パリのパン屋さん』(新潮社)、『日曜日は、プーレ・ロティ』(CCCメディアハウス)などがある。Instagramは@mlleakiko。Podcast「今日のおいしい」も随時更新。朝ごはんブログ再開しました。
&Premium No. 126 Life with Flowers & Greens / 窓辺に、花と緑を。
人はなぜ、こんなにも花や草木を愛するのでしょうか。植物と触れ合うことは、その美しさを愛でるということにとどまらない大きな喜びを、私たちに与えてくれます。植物とともにある生活は、毎日が発見の連続。 季節の移ろいに敏感になるだけでなく、住まいや暮らしそのものを、心地よく、健やかにしたいと願う気持ちまでもが、ふつふつと湧いてくるように思います。さらに、私たちの中に潜む原初的な感覚の扉をそっと開き、心にやすらぎをもたらしてくれるのです。今号は、花を飾ること、植物を育てることを楽しみながら、心地よく暮らす人たちを訪ねました。
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