サボテン金鯱をタネから育てる
金鯱はタネから育てる「実生」でも人気の品種。
金鯱のタネはメルカリなどの個人間取引でも比較的入手しやすく、また発芽率も高いため、初めてタネからサボテンを育てる方におすすめです。
タネからの栽培は、成株を買って育てるより手間暇がかかりますが、発芽から手塩に掛けた株の成長を見守るのはこの上ない喜びです。
ぜひチャレンジしてみてください!
ここでは、2017年にタネを蒔いた、私の金鯱の実生記録を紹介します。ちなみに、この時が初の実生です。
タネまき(2017年5月)
種子消毒
金鯱のタネ。スマホと比べてみれば分かるが、ゴマ粒より小さい。 (この写真の撮影は2024年4月)
タネまきは温度と湿度がある5月あたりが理想的ですが、ヒーターなどの加温装置がある場合は年中OKです。
[参考商品] Pix:amazon.co.jp
タネを入手したら、まずそのタネを消毒します。
消毒は、蒔いたあとに土の中で他の病原菌に感染するのを防ぐためです。
いろいろな殺菌剤が販売されていますが、私は「ダコニール1000」を使用。
付属のキャップ半分ほどのダコニール1000を、500mlのペットボトル容器の水で希釈。
その消毒液を市販の霧吹きボトルに入れ、キッチンペーパーの上に置いたタネに噴霧した後、キッチンペーパーを折り畳んでタネを挟み、2〜3時間放置します。
用土に播く
土は、清潔な土を使う必要があるため、赤玉土とバーミキュライトを6:4で混ぜた土を一旦ビニールシートに広げ、種子消毒の際に作った消毒液を土全体に噴霧し、天日干しして乾かしたのちに播くのが正しいやり方ですが、私はこの時は土消毒は行わずにそのまま播いちゃいました。
タネの播き方は、育苗ポット(あるいは小さい鉢)に前出の用土を入れ、その上にただ置くだけでOK。複数ある場合は離して置いてください。
腰水(こしみず)し、ラップをかけ保湿
発芽するまで用土を十分に水分で満たすために、腰水を行います。
水を容器の半分くらいまで張ったカップ状の容器に、タネを播いた育苗ポットを入れると、鉢底穴から吸い上げた水が用土全体を湿らせます。
タネを取り巻く環境が高温多湿になるよう、育苗ポットにサランラップなどをかぶせておきます。ラップは密閉し
ないように穴を2〜3個開けておきます。
その後は、高温(30℃くらい)多湿の環境で管理します。
水は、2〜3日に1回くらいの割合で新しい水に変えます。
1週間後、発芽
ラップの中に緑色の突起物が見えたので、外してみたらなんと緑色の突起物が!(写真左)
「え、これがサボテンの芽なの!?」とびっくりしました。
発芽したら、芽がラップに接触しないように、写真右のようにラップに膨らみを持たせてかぶせます。
2カ月(2017年7月)
1カ月が経過した頃に腰水を終了し、以降は常に用土が湿っているように頻繁に霧吹きで水を与えるように。
いっちょ前にトゲを生やしているあたり、可愛いですね。
6カ月(2017年11月)
成長に伴い、特設ステージを作ってあげました。
冬になったらワイヤー部分にラップをかぶせることで簡易温室に早変わり。
水やりは今までのように、用土は常にビショビショに湿っているというよりは、若干乾いたセミドライの状態になってから再び十分に湿らすというサイクルに切り替えます。
7カ月(2017年12月)
初めての冬到来。ラップをかぶせるとこんな感じに。
この時は保温ヒーターが故障していたため、下に使い捨てカイロを置き代用しました。
10カ月(2018年3月)
金鯱は球サボテンなので、右側のは柱サボテンだな、と思ってしまいましたが、その柱サボテンだと思っていた高さ1cmのほうが金鯱で、もう一つはテロカクタスの一種だと判明するのは後日のこと。
2年2カ月(2019年7月)
2株とも大きくなってきたので、それぞれ単独の鉢に分けました。この頃の金鯱は高さ5cmくらい。用土は懇意にさせてもらっている園芸店オリジナルのものを使用。
2年8カ月(2020年1月)
高さ7cm(トゲ含まず)まで成長。トゲに金鯱の片鱗が見えてきました! この直後、世界は新型コロナという未曾有の危機に直面していくことになるとは、金鯱も私も知る由もない。
3年11カ月(2021年4月)
高さ11cm(トゲ含む)まで成長。横幅も広がり、トゲもしっかりしたものが生え、リブの形成も美しい。
5年(2022年5月)
高さ16cm幅15cm(それぞれトゲ含む)まで成長したので、相応の鉢に植え替える。
6年11カ月(2024年4月)
現在の勇姿。
高さ17cm幅17cm(それぞれトゲ含む)。
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サボテン金鯱をいい感じに育てるコツ
トゲを強く太くする
金鯱の自生地ソノラ砂漠は、常に乾燥していて朝晩の温度差が著しく、極端に少ない雨と砂混じり強風が容赦なく吹き付ける過酷な砂漠気候。
しかし日本の気候下で砂漠気候を実現するのは無理がありますし、しかも植木鉢で育てるとなればできることも限られるため、最低限以下の4つを心がけることで、野生種のような趣のある個体になることが期待できます。
12cm(トゲ含む)を超えた成株は存分に直射日光に当てる。冬と梅雨時以外は表に出しっぱなしでもよい。(曇っていても自然の空気と風が成長を促す)水やりは、あげる時はたっぷりと、あげない時間もたっぷりと、というようにメリハリをつける(完全に自然の降雨任せにして育てている方もいます)。冬も屋内に入れず、夜間は屋外の温室で管理し、昼夜の温度差を与える(ただし5℃を切ったら屋内に避難させる)。