May.17 – May.23, 2024
Saturday Morning
Title.
Impromptu, Op. 86
Artist.
Judy Loman 湧き上がる水の躍動。苔の上に浮かぶ水滴の粒。
朝日に照らされ、それらがキラキラと輝いているような音色。これから来る梅雨の朝に爽やかな風を感じさせてくれる。近代フランスの作曲家ガブリエル・フォーレのハープのための即興曲。フォーレの即興曲は全6曲ある。ほとんどがピアノの独奏曲で、そのうちハープの曲はこの1曲だけ。
即興曲らしい自由な構成は、僕たちの楽曲にも通じるような印象を受ける。日本の琴でもこんなふうな音色を出せたらどんなに気持ちが良いだろう。(磯部)
アルバム『The Romantic Harp』収録。
Sunday Night
Title.
交響曲 第3番 ヘ長調 作品90: 第3楽章: Poco allegretto
Artist.
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 & ヘルベルト・フォン・カラヤン 大学生の頃、親友の家に立派な音響システムがあった。高価なスピーカーの前に座り、クラシックを聴く。僕にとっては初めての経験だった。彼はブラームスが大好きだった。ブラームスの魅力は彼から教えてもらった。その中でも彼も僕も大好きだったのが、この交響曲第3番の第三楽章。肌に感じる音、迫力、立体感。それから僕は音響に夢中になり、スピーカーや、マイク等のレコーディング機材を集めるようになった。大学のライブラリーで『サウンド&レコーディング・マガジン』のバックナンバーを全て借りて、知識を付けた。この曲を聴くたびに、大学に入ったばかりの頃の、少しの不安や、大きな希望、そのほかにも言い表せない様々な感情が沸き起こってくる。音楽や、香りは、記憶に結びつく事がある。思い出と共に脳に宿る。この曲を夜に、大音量で浴びるように聴く贅沢。まだ見ぬ明日への期待が膨らむ。今でも、あの頃と同じような気分にさせてくれる。(柳平)
アルバム『ブラームス:交響曲全集』収録。
&Music / 土曜の朝と日曜の夜の音楽 Ⅱ
音楽好きの“選曲家”たちが月替わりで登場し、土曜の朝と日曜の夜に聴きたい曲を毎週それぞれ1曲ずつセレクトする人気連載をまとめた「&Music」シリーズの第2弾。 23人の選曲家が選んだ、週末を心地よく過ごすための音楽、全200曲。 本書のためだけにまとめた、収録作品のディスクガイド付き。
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音楽家 いろのみ
柳平淳哉(Piano)と磯部優(Programming, 17strings)によるユニット。ピアノと弦楽器、そして有機的なエレクトロニクスによって「季節のさまざまな色の実を鳴らす」ことをコンセプトに活動する。これまでに〈KITCHEN. LABEL〉〈STARNET MUZIK〉〈涼音堂茶舗〉〈ironomi rec〉より計12枚のアルバムをリリース。2015年12月には中島ノブユキ、沢田穣治、haruka nakamura、Aspidistrafly をはじめとする様々なコラボレーターを迎えた7thアルバム『虹』を〈KITCHEN. LABEL〉よりリリース。2024年3月には、12作目となるアルバム『四季』を〈ironomi rec〉よりリリース。冬から春に移り変わる景色、初夏の瑞々しさ、秋の実りの喜びと染まっていく山々。それらの色が巡り、星へと瞬いていく物語。活動16年目にして初めて「四季」をテーマに作品を制作。