ママ友の協力でピアノ教室を開業



集まったママたちは皆「何かしたいけれど、子連れでは身動きが取れない」と言いました。昔はピアノを習っていたけれど、先生が厳しくてやめてしまったとも。「子連れで習える、絶対に怒られない教室を開こうか」。子どもが騒いでも、練習しなくてもOKなピアノ教室を……。

早速、ホームページを作れるママにお願いして、教室のサイトを作ってもらいました。ボランティアではない本物の教室の開業です。 とはいえ、うまくいくかどうかは半信半疑でした。というのも、私が住んでいる住宅地はすでにピアノ教室が5、6軒あり、新規参入の余地はないように見えたからです。

しかも、小学校が1学年1クラスの学年もあるほど子どもの少ない地域。私が開くのは「練習しなくていい教室」などと言い切ってしまう珍しいスタイルですし、完全にダメ元という気持ちでした。 ところが、生徒は集まってきたのです。電車で2時間かけて、あるいは車で30分かけて、遠くから。

赤ちゃんを連れたママや、自由保育系の幼稚園に通っている子、「小さいころにピアノの先生が怖くて自分はやめてしまったが、子どもにはのびのび習わせたい」と言って子どもを連れてきた人もいます。ネットでわざわざ探して来てくれた人たちです。 気が付いたら、教室はすっかり軌道に乗っていました。

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まとめ

私のピアノ教室は、もともと持っていたピアノ演奏の技術にママ友たちの視点が加わり、自分では思い付かなかった方向性で生まれたものです。ある意味ママ友たちとの合作ともいえる教室ですが、そのおかげで少子高齢化の進む地域での開業という壁を破ることができました。

最初は自分には何もできないと思っていました。けれども人の輪に入っていき、ささいなことでもコミュニティーの役に立ってみると、人の目を通して新たな自分を発見することがあります。そうした積み重ねが思わぬ道を開くこともある。そんな学びを得た経験でした。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

イラスト/村澤綾香

著者/Yumiko(49歳)
ライター&ピアノ講師。小学生女子の母。焼肉が大好物の家族に悩まされながら、日々ダイエットに励んでいる。趣味は料理とウクレレ。