記録的な暑さを毎年更新する昨今。熱中症はいまや、とても身近な病気になりつつあります。
だれでもかかる恐れがあるだけでなく、後遺症の恐れもある熱中症を、どのように対策し予防すればいいのでしょうか。
大塚製薬が開催した熱中症対策セミナーの様子をお伝えします。
熱中症をなくすのは難しい、重症化を防ぐことが大事
40℃を超える気温が常態化している昨今、熱中症のリスクは高まるばかり。
「熱中症をなくすのは難しいので、軽い段階で対処し、重大な副作用を防ぐことが大事」だと語るのは、早稲田大学 人間科学学術院 体温・体液研究室教授の永島計先生です。
なぜ熱中症になるのかというと、熱中症が起きやすい環境や活動により、体水分が不足して体温が下げられなくなるため。
つまり、熱中症にならないようにするには、体水分不足を避ける・早いうちに対策することが不可欠。体の水分バランスを整え、体温調節機能を維持することが大事です。
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発汗で体温調節するのに合わせ、失われた水分やナトリウムの補給が必要
私たちの体は、熱を生み出し放散するという、2つの働きのバランスによって体温調節をしています。
その熱の放熱方法のひとつが、発汗です。
運動をしたり暑い場所にいて体温が上がると、汗をかき蒸発することで、上がった体温を下げ、深部体温(脳や内臓がある場所の温度)が37℃になるように調節しています。37℃というのは、生命活動に欠かせない酵素が、最も活性化する温度です。
体温調節機能が働くためには汗が重要で、汗のもとになる体内の水分を常に保つことが、体の機能を維持するためには欠かせないのです。
けれど、汗をかいたときに失われるのは水分だけではありません。ナトリウム(塩分)もともに失われています。汗をかいたら、水分だけでなくナトリウムの補給も必要です。