体温を測ったときに「えっ?低っ!」と思ったことはありませんか。平熱が低いタイプの人は「低体温」とされ、冷え症とは区別されています。体温が低いのはなぜなのか、加齢とは関係があるのか、体温が低いと健康や美容にはどんな影響があるのかなど、気になることを美容専門医の黒田愛美先生に聞きました。
監修/黒田あいみ先生(Zetith Beauty Clinic 医師/東京美容外科沖縄院院長)
美容外科、美容皮膚科、予防医学(栄養療法)、アンチエイジング専門医。Zetith Beauty Clinic 、東京美容外科沖縄院にて勤務。トライアスロン日本代表の経歴を持ち、⾃分がアスリートであることも⽣かしつつ、美と健康のスペシャリストとして「中からと外からの美と健康」を信念に、外から(美容医療)だけでなく、中から(分子栄養学、予防医学)の美と健康の権威として多くの文化人、芸能人、アスリートからの信頼も厚い。著書に、「中田敦彦のYouTube大学」でも紹介された「アスリート医師が教える最強のアンチエイジング」(文藝春秋社)がある。
「低体温」と「冷え症」はどう違う?
体温が35度台の場合は「低体温」
女性に多い「冷え症」と「低体温」は違うのでしょうか。
「冷え症とは、体温に関係なく、手足が冷たい、おなかが冷たい、腰が冷たいなど、どこかに冷えを感じ不快や苦痛を感じている状態です。
一方、低体温は体温が35度台と低い状態のことを指します。個人差はありますが、健康な人の体温はおおむね36度から37度で調節されており、外気の寒い冬でも環境に影響されることなく一定に調節される機能が働いています。
体温が35度以下になると、意識や判断力の低下、循環機能の低下を来す「低体温症」と判断されます。低体温症は山岳事故や水難事故などで起こることがある、命に関わる症状です。そこまで深刻ではないものの、体温が低いことを『低体温』と言います」(黒田先生)。
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低体温はやっぱり体に良くない?
血流が悪くなり、代謝が悪くなる
低体温、と聞くとあまり体に良くないイメージがしますが……。
「体温が下がると、血流が悪くなることが一番体へのダメージが大きいですね。
血流が良いことで老廃物のデトックスが促され、腎臓で排出がされやすくなりますが、血流が悪くなると新陳代謝が低下して、肌のターンオーバーにも影響します」(黒田先生)。
血流が悪いと体内のデトックス効果が落ちるのですね。ちなみに、体にたまった老廃物という言葉をよく目にしますが、老廃物とは具体的に何なのでしょうか。
「老廃物とは体内で不要になった毒素です。環境ホルモン、大気汚染、食品添加物など私たちの周りには老廃物の原因となるものが多くあります。
老廃物はリンパ節にたまり、そこから血流にのって代謝される仕組みになっています。リンパ節は鎖骨、脇の下、鼠径部(太ももの付け根にある溝の内側部分)、膝裏などにあり、その周辺に老廃物はたまりやすくなります。
また、老廃物は血流が悪い場所にもたまりやすくなります。例えばセルライトは、血流が悪い太ももの裏など老廃物と脂肪と水分がたまりやすい場所にできます」(黒田先生)。