「緑内障」は日本人の失明原因の1位。自覚症状がほとんどなく、気付いたときには病状がかなり進行しているということもあるそう。今回はそんな静かに私たちを襲う病である「緑内障」について眼科医の田辺直樹先生にお伺いしました。
監修/田辺直樹先生(田辺眼科クリニック院長)
日本眼科学会認定専門医。札幌医科大学医学部卒業。名鉄病院、名古屋大学、知多市民病院で眼科医員、公立学校共済組合 東海中央病院で眼科医長を務めたのち、2004年に地元愛知県名古屋市にて、田辺眼科クリニックを開院。子どもからお年寄りまで幅広い目の悩みに対するきめ細かいケアに定評がある。
緑内障ってどんな病気?
徐々に視野が欠けていく
緑内障は目と脳をつなぐ神経が傷つき、どんどん視野が狭くなっていく病気です。一度傷ついた神経は元に戻ることはなく、治療を受けなければそのまま目が見えなくなってしまうそう。
「まず、緑内障とは房水という目の中を流れる液体の流出障害によって引き起こされます。房水は血液の代わりに栄養を運んでくれる大切な液体です。その房水の流れが悪くなると、眼球内に房水がたまってしまい、眼圧を高めてしまいます。
緑内障は、開放隅角緑内障(かいほうぐうかくりょくないしょう)と閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)の2つに分けられています。ほとんどの場合は開放隅角緑内障ですが、年を取っていると閉塞隅角緑内障になることがあります。
高齢であったり遠視が強かったりすると閉塞隅角緑内障になりやすいですね。閉塞隅角緑内障は突然房水の流出が停止し、急激に眼圧が高くなるので、眼痛などを感じることがあります。
逆に開放隅角緑内障は房水の流れが止まりはしないけど悪くなる状態のことを指します。緩やかに進行する病気なので、痛みを感じたりすることは少ないです。
また、開放隅角緑内障でも特に多いのは正常眼圧緑内障という病気です」(田辺先生)
正常眼圧緑内障とはどのような病気なのでしょうか?
「緑内障というと、皆さんは眼圧が高い病気というイメージを持たれていると思います。ですが実際はそうではなく、眼圧は正常値なのに緑内障になられているという方が多いんですよね。
正常眼圧緑内障というのは、眼圧は正常値の範囲内であるにもかかわらず房水の流れが悪くなっている病気です。
健康診断などで眼圧が正常値だと気付かないので、知らず知らずのうちに正常眼圧緑内障になっているというケースは多々あります」(田辺先生)
(広告の後にも続きます)
緑内障になりやすい人って?
近親者に患者がいればなりやすい
緑内障の主な原因は、
・眼圧が高くなることで視神経を傷つけてしまう
・先天的に視神経が弱い
・血流が悪い
といわれています。
「この他にも、親や兄弟などの近親者に緑内障の患者さんがいれば自分も緑内障になりやすいということはあります。
特に親が緑内障になっている人は要注意です。遺伝はしませんが、身内に緑内障の患者さんがいるという方は一定の確率で緑内障を発症します。
あとは近視が強いと開放隅角緑内障の罹患率はかなり高くなります。近視は遺伝性がありますので、親が近視だという人は検査したほうがいいかもしれませんね」(田辺先生)