マイナンバーを口座に紐づけて得られるメリットとデメリット
メリットとデメリット
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ではここであらためて、マイナンバーを口座に紐づけるメリットとデメリットを整理してみます。まずはメリットからです。
預金口座との紐づけで得られるメリット
マイナンバーカードと預金口座を紐づけて得られるメリットは、上述のように、相続や災害などの際の手続きが圧倒的に楽になることです。災害に関しては、生涯被災することのない人の方が多いと思いますが、相続に関してはすべての人が必ず関わります。相続人となった経験のある筆者としても、このメリットはかなり大きいといえます。
ただし、これは相続の際に相続人が得られるメリットであり、口座とマイナンバーを紐づけしたご本人が得られるメリットでない点には注意が必要です。
預金口座との紐づけによるデメリット
では反対に、預金口座にマイナンバーを紐づけることによるデメリットについて考えてみます。「隠し口座がバレてしまう」などの特殊な例を除けば、一般的に口座との紐づけによって考えられる最大のデメリットとは、個人情報の漏えいです。
令和5年12月に、マイナンバーと紐づけられた健康保険証の情報に関して、政府が住民基本台帳と照合したところ、氏名などが一致しないケースがおよそ139万件にのぼっていることが報道されました。
このうち450人程度は別人の情報が紐づけられていると推測されていることから、マイナンバーカードと預金口座が紐づけられてしまうと、本人の預金口座の情報が第三者に流出してしまう恐れがあります。
これまでも、マイナンバーカードと一体化した健康保険証に他人の情報が登録されていたケースや、国の給付金などを受け取る公金受取口座に本人以外の口座が登録されていたケースなどは後を絶たず、紐づけのミス以外にも誤って家族の口座を登録してしまったと思われるケースも14万件ほどもありました。
こうしたトラブルの数々から考えると、口座番号との紐づけ時に何らかの間違いが生じ、その結果自分の財産の内訳が第三者に流出してしまう恐れは今後も否定できません。これが、預金口座にマイナンバーが紐づけられる最大のデメリットとなります。
もちろんこれ以外にも、将来的にはハッキングなどにより大量の情報が流出してしまう恐れも可能性としては挙げられます。
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問題の本質はマイナンバー制度に対する不信感
少子高齢化が進み、自治体などが提供するサービスも従来通りに行うことは難しくなることから、一般企業だけでなく政府自治体もDX化を進め、より効率的な運営を行わなければなりません。今回の口座管理法の導入も、こうした社会全体のデジタル化の流れから生まれた施策のひとつです。
相続手続きに関しては、被相続人の全口座がマイナンバーと紐づけされていれば簡単に情報が取り出せるため、大変便利です。ですが、SNS上で間違った情報が錯綜したりデマが飛び交ったりするのは、マイナンバー制度に対する不信感からです。
新しいことに取り組む際に失敗をする点がでてくるのは仕方ありませんが、国民が安心してより進化したデジタル社会を迎えられるように、政府にはできるだけ丁寧な説明を辛抱強くしていただくことを望みます。