最近は、24時間換気システムを完備している賃貸物件も増えてきました。
しかし、昨今の急激な電気代の高騰で、「24時間換気なんて電気代がもったいないのでは?」と感じる方もいるでしょう。
そこで今回は、そもそもなぜ電気代が高騰しているのかというところから、換気扇の種類や24時間換気扇をつけっぱなしにした場合の電気代、換気扇の電気代を節約するコツまで、詳しく解説していきます。
自宅の換気扇の電気代が気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
2023年も電気代が高騰!その原因は?
電気代の急激な高騰は、日本中の家計に大きな打撃を与えています。
なぜこんなにも電気代が高騰しているのか、まずはその大きな要因からみていきましょう。
燃料価格の高騰
電気代高騰の大きな要因の1つが、天然ガスや石炭などの燃料価格の高騰です。
天然ガスと石炭の値段は共に、2020年より急激に高騰し始めました。
日本での為替を考慮した天然ガスの価格推移を見てみると、2020年9月は671円/mmbtuだったのが、2022年9月は3,106円/mmbtuと、2年間で約5倍にまで上昇しています。
石炭価格もオーストラリアでの価格を日本円に換算した推移では2020年9月は5.77円/kgですが、2022年9月は61.67円/kgと約10倍もの上昇率です。
天然ガスと石炭価格はいずれも2023年9月では高騰傾向もやや落ち着いていますが、未だに高水準のままです。
燃料価格が高騰している大きな要因には、以下のことが挙げられます。
・脱炭素化に向けた世界的な流れ
世界中で温室効果ガスである二酸化炭素の排出をなくす、脱炭素化に向けた動きが活発になっています。
そうした動きの中、天然ガスは他の化石燃料に比べて燃焼時の二酸化炭素の排出量が少ないことで注目を集め、天然ガスの需要が高まったことが燃料価格の上昇につながっています。
・新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの影響で停滞した経済の回復を試みる規制緩和によって、2020年4月に化石燃料の価格が一時的に下落しました。
しかし、そのことで今度は電力需要が増加し、供給が追い付かない状態となったことも燃料価格が上昇した要因の1つです。
・ウクライナ情勢
2022年から始まったロシアのウクライナ侵攻も燃料価格の高騰に影響しています。
国家収入の多くを化石燃料に依存するロシアに対して経済制裁を加えるために、各国がロシアからの輸入を制限しています。
その結果、天然ガスをはじめとするエネルギー源がひっ迫する事態となり、燃料価格の高騰が続いているのです。
国内の電力供給不足
昨今の電気代高騰には、日本国内の電力供給不足も影響しています。
国内の電力供給量が減少している主な原因は、2011年の東日本大震災によって原子力発電所の停止が相次いだことです。
2010年は日本の発電全体の25%を原子力発電が占めていましたが、2020年には3.9%まで低下しています。
また、電力自由化による電気料金競争の激化で、採算の合わない古い火力発電所を停止させる動きや、再生可能エネルギーへの切り替えで火力発電所が縮小傾向にあることも国内の電力供給量不足を招き、電気代の高騰につながっています。
再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上げ
毎月の電気料金には、電力会社が買い取った再生可能エネルギーの費用の一部を電力受給者が負担する「再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下:再エネ賦課金)」が含まれています。
2012年の再エネ賦課金の単価は0.22円/kWhでしたが、2022年には3.45円/kWhに上昇しています。
再エネ賦課金は原則として電力使用量に応じて支払うため、単価で見ると大差ないように感じても、年間では大きな違いが生じる家庭もあるでしょう。
電気代の高騰がいつまで続くかはわかりませんが、上記の要因が解消されない限り、2023年以降もしばらく続く可能性は十分に考えられます。
少しでも家庭の電気代を抑えるためには、節電への工夫が必要です。
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自宅に設置された換気扇の種類・タイプを知っておこう
換気扇には性能や羽の形状、設置場所などによって様々な種類があり、この違いをしっかり理解しておくことが、最適な換気扇の選択に役立ちます。
ここからは、主な換気扇の種類を詳しくご紹介していきます。
換気扇は3つのタイプに分けられる
換気扇は、電気式シャッター・連動式シャッター・風圧式シャッターの3つのタイプに大きく分けられます。
それぞれの特徴は、以下のとおりです。
・電気式シャッター
電気式シャッターは、スイッチを入れると電動でシャッターが開き、それと同時にプロペラが回り出して換気を行います。
紹介する中では、最も機能に優れた換気扇です。
・連動式シャッター
連動式シャッターは、シャッターとプロペラの動きが連動しておりスイッチが入ります。
換気扇についている紐を引っ張るとシャッターが開き、同時にプロペラも回り出します。
この換気扇は、窓や壁につけるタイプに多いです。
・風圧式シャッター
風圧式シャッターは、換気扇のプロペラの風圧によってシャッターが開閉する仕組みの換気扇です。
非常にシンプルな作りで、シャッターというよりも薄い鉄板が吊るされているような見た目です。
さらに詳細な換気扇の種類
換気扇の種類は、形状や構造、設置場所などによって、さらに細かく分類されます。
・一般換気扇
「筐体」といわれる四角形の本体に、ファンが取り付けられている換気扇です。
電気式、連動式、風圧式のいずれのタイプもあります。
これまでは、オン・オフのみの換気扇が中心でしたが、最近は、2段階調整が可能な「調整式」や排出に加えて吸気もできる「及排式」も展開されています。
・窓用換気扇
小型の窓に取り付けるための換気扇で、窓用エアコンと同じように扱われます。
利用時は、換気扇を取り付けた部分の窓を開けて使います。
大きさは15~25cm程度で、リビングやキッチンの他、超小型のものはトイレにも取り付けられます。
窓との干渉を防ぐため、基本的には背面シャッターがありません。
・空調換気扇
排気だけでなく、空調機能も兼ね備えた換気扇です。
フィルターが取り付けてあるので、花粉やホコリがブロックされ、汚れた空気を外に出すのと同時に新鮮な空気を供給できます。
熱交換器で熱を調整して室温に近づけてくれるため、常時換気しても冷暖房の効率を落とすことなく使えます。
・ダクト用換気扇
浴室やトイレ、アイランドキッチンなどの外気に面していない部屋で、天井裏に通したダクトを使って換気するタイプです。
昭和43年から集合住宅向けとして販売されるようになりました。
「ダクト用」や「天井埋込型」など、メーカーによって呼称に違いはありますが、基本的に用途は同じです。
・パイプ用ファン
非常に狭いスペースに取り付けることを目的として作られた換気扇で、トイレなどに埋め込んだパイプに差し込んで設置します。
トイレでは100mm、浴室などでは150mmパイプ用のものが多く使われています。
人感センサーや湿気センサーなどが付いており、24時間換気に対応しているタイプも展開されています。
・レンジフードファン
コンロ上のカバーとファンが一体化した、システムキッチンに付随している換気扇です。
排気専用と強制給排気、熱交換の3タイプがあります。
運転を停止した際の冷気の侵入を防ぐために、電動シャッターを連動させるなど、高気密住宅に対応したものも登場してきています。
フードの構造や形状、フィルターのお手入れのしやすさなどによって、バリエーションが豊富です。
換気扇の羽にも違いがある
換気扇の羽には、プロペラファン・シロッコファン・ターボファンといった種類があります。
・プロペラファン
扇風機の羽のような形状で、主にキッチンのコンロ周辺の壁に取り付けて使用されます。
外に直結していることから風に影響されやすく、強風を受けると風量が低下してしまうため、高気密住宅や高層階に設置されることは少ないです。
・シロッコファン
筒の中に換気扇が付いた構造で、ダクト用換気扇に使われます。
プロペラファンとは違って外部と直結していないので、強風の影響を受けにくく、風量も安定させやすくいため設置場所を選びません。
高気密住宅や高層住宅、壁から離れているアイランドキッチンにも用いられます。
・ターボファン
形状はシロッコファンに近いですが、羽が大きくて枚数が少ない点が異なります。
性能は、プロペラファンとシロッコファンの中間的な位置付けで、換気効率の良さではプロペラファンを上回ります。
ダクトを使用するので、場所にとらわれず設置できるのも魅力です。