よく使うハーブの育て方、使い方をまとめた「私のハーバル手帳」

例えば、本の中で紹介したカモミールは、娘たちが小さい頃から眠る前にミルクティーにして飲んでいます。カモミールの安眠作用はよく知られていますが、それだけではなく、喉がちょっと痛いなという、いわゆる風邪の初期症状のときにも有効です。その段階でカモミールティーを飲んでおくと、たいがい本格的な風邪に発展せずに済んでいます。こういうふうに、はっきりと「病気」とまではいかないけれど、ちょっとあれ? っていう違和感を覚えることって、日常的にありますよね。身体の不調もそうですし、なんとなく不安感が強くなったり、眠れなくなったりすることは、誰にでもあるものです。そういうときに、身近な庭や鉢植えの植物を使って対処できる知恵を持っているのは、心強いですよね。

ちょっと話はそれますが、私の地元でもあり、今も暮らす茨城県は水戸黄門が有名ですが、黄門様の命によって水戸藩医がまとめた『救民妙薬集』という書物があります。これは医者に診てもらうことができない貧しい民のために、身近な植物を用いて病を癒やせるようにと書かれたものです。お腹の痛いときはこの草を使ってこうするよ、とか、ケガして出血したときはこうだよ、というように、自分自身で不調に対処する術が書かれているんです。私はこれを読んで、この知識がどんなに人々を救ったことだろうし、心強かっただろうなと思って感動しました。私は西洋からもたらされたハーブを庭で育てて、暮らしに役立ててきましたが、私自身も何度もハーブに救われてきました。自社のスキンケア商品にもそういう経験が生かされています。そして、もっと多くの人に自分がこれまで培ってきたハーブの知識を伝えたい、と思い「本」という形を選択しました。そのヒントを与えてくれたのが、『救民妙薬集』です。

「私のハーバル手帳」も、現代を忙しく生きる人々に、健やかで幸せな暮らしをおくるために役立ててもらえたらという気持ちで作りました。育てやすく使いやすいハーブや、道端に生えているような身近な草花をピックアップしました。ハンドバッグにいれて移動中などに眺めてもらえるように、A5版であえて薄い作りにしました。忙しい日常の合間で、ふと本を開いたときに癒やされ、いつも健やかでいられるためのお守りになれたらうれしいです。

【私のハーバル手帳】

Vol1. カモミール、ミント、ラベンダー、セージ

Vol2. ローズマリー、タイム、オレガノ、バジル

Vol3. バラ、バタフライピー、ラバンジン、オータムベリーズ、コキア、クロモジ

Vol4. フキ、ヨモギ、スギナ、カラスノエンドウ、セイヨウタンポポ、ドクダミ、サンショウ、シソ、クスノキ、ビワ

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【Information】

鈴木ハーブ研究所

オープンガーデン開催中
5月24日(金)〜26日(日)10時〜16時(最終日15時まで)
入園無料

■場所
鈴木ハーブ研究所/〒319-1112茨城県那珂郡東海村村松2461

■内容
500種以上を育てるガーデンの無料開放/ワークショップ/出店販売他

https://feelherb.s-herb.com

Credit

取材 / 3and garden



スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。