マリメッコの「ウニッコ」柄が60周年。来日したクリエイティブ・ディレクター、レベッカ・ベイにインタビュー

フィンランド発デザインハウスのマリメッコが、ファッションイベント「Marimekko Day in Tokyo」を2024年5月17日(金)〜19日(日)の3日間、原宿の複合施設WITH HARAJUKUにて開催した。日本で初となるパブリックショーが行われたイベントの様子をリポートするとともに、来日したクリエイティブ・ディレクター、レベッカ・ベイのインタビューをお届けする。

レベッカ・ベイが語る、マリメッコのヘリテージ

イベントのために来日したレベッカ・ベイに、ウニッコの60周年や日本とマリメッコの関係、マリメッコのクリエーションについてインタビュー実施。ショー直前の慌ただしいタイミングにもかかわらず、終始笑顔で答えてくれた姿が印象的だった。

ーー 「ウニッコ」柄が今年で60周年を迎えますが、マリメッコとしてはどういった節目として捉えていますか?

「ウニッコ」柄はマリメッコの中でも特に愛されているアイコンのような存在です。記念すべき節目ですので、日本はもちろん、世界各国で多くのイベントを開催して祝福しています。

今年はすでにライトアート・フェスティバル(ヘルシンキで毎年開催される光の祭典)やコペンハーゲンファッションウィークに参加しました。4月のミラノデザインウィークでは「バー・ウニッコ」を期間限定でオープン。パブリックショーはヘルシンキで30年以上開催していますが、今年はバンコク、上海をめぐり、今日東京で初開催します。

ーー 日本では3月にも「Rakuten Fashion Week TOKYO 2024 A/W by R Show」としてショーを開催しました。日本でパブリックショーを行う意味をどのように考えていますか?

日本とは長年良い関係を築いてきましたし、世界の中でも最も重要な市場です。パブリックショーは、すでにマリメッコが好きな人とこれからマリメッコを知るという人のどちらにも開かれたイベントだと考えます。このショーを通して、マリメッコが人々の生活にいろどりと喜びをもたらすということを伝えたいのです。

また、これまではライフスタイルプロダクトやテキスタイルが人気を集めていましたが、私はレディ・トゥ・ウェアやバッグなどのファッション領域に非常に可能性があると感じています。国境や世代、性別を超えて、世界の人々に着用いただけるはず。


「Marimekko Day in Tokyo」のショー会場

現在、日本だけではなくアジア全体の成長にも注力していてますが、70年以上の歴史があるブランドですから、これまでの素晴らしい遺産に敬意を表しながら、同時に新しい世代へのアプローチにも挑戦していくことも必要です。今日のようなファッションショーは、そういった様々な背景からブランドをフレッシュに見せるための良い取り組みになるでしょう。

ーーマリメッコのような歴史のあるブランドで、新たなコレクションをまとめる上で大切なことはありますか?

マリメッコはフィンランド語で「マリーのためのドレス」という意味を持ちます。ドレスを一枚のキャンバスと捉え、毎シーズン膨大な量のアーカイブを見直すことからコレクションは始まります。昔作られたテキスタイルに当時の社内評価として「not good」とコメントが書かれていても、今見返すと「good!」ということは多々あるんですよ。

「ウニッコ」を始めマリメッコにはたくさんのアーカイブテキスタイルがあり、その数は3500以上にものぼります。色を変えたり柄のバランスを変えたり、一つのデザインに対して500以上のバリエーションがあることも。以前はフィンランドのデザイナーと協業することが多かったのですが、近年はマリメッコの伝統を理解し新たなクリエーションを生み出してくれる、インハウス、または外部の様々なバックグラウンドを持つデザイナーと共同で仕事をしています。

ーーマリメッコのクリエイティブディレクターを務める上で、重要なことはなんでしょうか?

大切なことは二つあります。一つは、マリメッコが築き上げてきた70年以上の歴史に敬意を表しながら、次の70年を生み出すようなクリエーションをすること。

もう一つは、世界中で知られているマリメッコというブランドに対して、アジアやヨーロッパなどの地域を問わずどの国から見ても同じ意味を持たせることです。デザイナーや職人など多種多様なメンバーを率いているので、全員が同じヴィジョンを掲げて仕事に取り組めるようにイメージを作り上げることが私の使命です。

text: Azu Satoh

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