数えきれないほどのグリーンが並ぶ鹿児島・鹿屋の『アラヘアム』と、次男・宅二郎さんの自宅から、18の鉢植えをピックアップ。植物に合った鉢の選び方、仕立てのコツ、置き場所……、植物を暮らしに溶け込ませるヒントが詰まっていました。
ネペンテス
葉先のツルに壺のような形の袋をつけ、袋の中の消化液で虫を捕食する食虫植物。ポットカバーに収めてハンギングで育成すれば、袋が垂れ下がる姿が引き立つ。
カランコエ・ミラベラ
グリーンから濃いオレンジにグラデーションする、釣り鐘形の花が美しい品種。花のつき方を計算し、全体を逆三角形にまとめると美しく仕上がる。
ティランジア・コットンキャンディ
銀葉種のティランジアを宅二郎さん邸のキッチンで発見。エアプランツは変化が小さいので放置してしまいがち。目につくところに置くと様子がわかりやすい。
アンスリウム・ビッタリフォリウム
アンスリウムのなかでも珍しい、葉の長い品種。シェルフの高いところに置けば、下に伸びる葉の流れを楽しみやすい。腰高な形状のポットですっきりと仕立てた。
アロカシア・ジャクリン
アロカシアのなかでも葉の切れ込みが深く、白っぽく浮き上がる葉脈が特徴的。ギザギザとした葉の形のように、ポットもハンドル付きでリズム感のあるものが似合う。
サンスベリア・ゼラニカ
剣先のような形で、緑とシルバーのゼブラ柄が美しい葉を持つ、大型のサンスベリア。フォルムのエレガントさと、黒い鉢のシックな雰囲気がマッチしている。
ビカクシダ・ビフルカツム
ビカクシダの18の原種のうちのひとつで、園芸店でもよく見かける普及種。通常は板付けして吊るすところ、受け皿に板を置いて育てると見え方が変わって新鮮。
フィロデンドロン・ビレッティア
流通量が少ない品種で、細長い葉がスタイリッシュ。オレンジ色の茎に、〈ア クエスチョン オブ イーグルス〉のポットの、LAの光を映したような色を合わせた。
フィロデンドロン・ピンクプリンセス
緑とピンクが混ざった葉は茶褐色のように見え、テラコッタの色にぴったり。やや暴れがちな樹形も、安定感あるシリンダー型の鉢に植え込めばきれいにまとまる。
ベゴニア・クロワシ
その名にふさわしい黒みがかった葉と、丸みを帯びた白い花が対照的な品種。可憐に連なる花の様子に、鉢に描かれた白い丸のペイントがよく似合う。
カラテア・ムサイカ
白く細かな葉脈がモザイク柄に見えることから、「モザイクカラテア」とも呼ばれる品種。大ぶりな葉の形に合わせて、化粧石に大きめの川石を敷くと収まりがいい。
マランタ・レモンライム
鳥をモチーフにした花器は、福岡・糸島の陶芸家、石原亮太によるもの。濃淡の効いた色合いに葉脈が際立つ葉を羽に見立て、空を飛んでいるように吊るした。
アロエ・オレンジマーマレード
赤い斑点入りのザラザラとした葉が特徴。低くボリューミーな株に縦長の鉢カバーを付けるとバランスがいい。粒感のある葉と、点々としたカバーの柄もリンクする。
アナナス・パシフィユ
南アメリカ原産で、観賞用のパイナップルとして知られる。浅く広いテラコッタ鉢に地面から飛び出しているように植え込み、南国で自生しているような雰囲気に。
ホマロメナ・ルベスケンス、アロカシア・ヒロビューティ
美しいグリーンのホマロメナと、迷彩模様の葉を持つアロカシアを寄せ植え。生育環境、水やりの頻度などが似た品種なら、一鉢に植え込んで楽しむこともできる。
フィロデンドロン・スクアミフェルム
茎は毛に覆われ、緑から赤にグラデーションする姿が奇妙でいて美しい。茎の色と鉢の色だけでなく、透け感のある葉の緑と素焼き鉢の浅い茶色のトーンも合っている。
ユーフォルビア・ボヘイ
柱サボテンを薄く伸ばしたような独特な形のユーフォルビア。シンプルなシリンダー型の鉢を組み合わせることで、安定感を加えつつ、形の面白さを引き立てた。
ベゴニア
黄みがかった葉に合わせてイエローのポットをセレクト。湿度を好む品種で、育成時に生えた苔を化粧石代わりに残し、しっとりとした雰囲気でまとめた。
鹿児島『アラヘアム』の植物が特別で、魅力的な理由を探るべく、ショップと温室、オーナーの自宅を訪ねました。鹿児島『アラヘアム』探訪記はこちらから。
Shop Informationアラヘアム Araheam
植物と雑貨のショップ、ギャラリー、カフェの複合施設として、前原良一郎、宅二郎、剛三郎の〝前原三兄弟〞が営む。グリーンを中心にアパレルや食器、日用品、食材も取り扱い、衣食住すべてのジャンルで商品を提案。店名は“Maehara”の逆さ読み。鹿児島県鹿屋市東原町2848‒3 0994‒45‒5564 12:00~18:00 火休 東京・千駄ヶ谷に支店『アラヘアミー』がある。
公式サイト
New暮らしに溶け込む植物が生まれる、九州の南端へ。:鹿児島『アラヘアム』探訪記 2024.05.26
&Premium No. 126 Life with Flowers & Greens / 窓辺に、花と緑を。
人はなぜ、こんなにも花や草木を愛するのでしょうか。植物と触れ合うことは、その美しさを愛でるということにとどまらない大きな喜びを、私たちに与えてくれます。植物とともにある生活は、毎日が発見の連続。 季節の移ろいに敏感になるだけでなく、住まいや暮らしそのものを、心地よく、健やかにしたいと願う気持ちまでもが、ふつふつと湧いてくるように思います。さらに、私たちの中に潜む原初的な感覚の扉をそっと開き、心にやすらぎをもたらしてくれるのです。今号は、花を飾ること、植物を育てることを楽しみながら、心地よく暮らす人たちを訪ねました。
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