当たり前の感謝を、当たり前にできる人だから尊敬される

――すると、上司としては、Z世代でも女性と男性では多少、言葉掛けを変えたほうが効果的と言うことでしょうか。

担当者 前回調査でも、Z世代女性は細かく仕事のフォローをしてくれる上司を好み、Z世代男性は仕事を任せてくれる上司を好む傾向が見えました。褒め言葉にも、この傾向が出ているように思えます。

女性には、「とりあえずやってみようか」とか「さすがだね」といった気遣いや頑張りを認めるような誉め言葉が、男性はただ単純に褒められるよりも「期待しているぞ」「信頼しているからな」といった全面的に任せるような言葉が印象に残るようです。

同じ褒めるにしても、ニュアンスを変えてみることで相手への響き方が違う可能性があるので、この部下はどちらの褒められ方がより嬉しいのだろうと、言い方を変えて試してみるのもいいかもしれません。

――それにしても、なぜ「ありがとう」が圧倒的な1位なのでしょうか。個人的には「さすが! 素晴らしい!」のほうがグッと響く気がすると思いますが。

担当者 私も結果を見た時、正直、「ありがとう」って当たり前すぎるなあと感じてしまいました。しかし調査では、「上司に言われて嬉しいと感じたフレーズ」ではなく、「あなたの上司がよく言う言葉はどれ?」という聞き方をしました。

これは、尊敬される上司からは「ありがとう」とよく言われるけれど、尊敬されていない上司は「ありがとう」さえ言えていない、あるいは言ってくれない結果ととれます。

「ありがとう」は、おっしゃる通り当たり前の言葉なのですが、当たり前の感謝を当たり前にできる人だからこそ尊敬されるのかなと感じました。

――しかし、自分を尊敬していない部下に「ありがとう」と言っても効果は3分の1だと、空しくなりませんか。

担当者 それは少し違います。そもそも尊敬されていない上司は「ありがとう」という回数が少ないのだと思われます。

「ありがとう」と言えば尊敬される確率があがる、とまでは言えませんが、なんとなく部下から尊敬されてない気がする…と思ったら、さりげない「ありがとう」から始めてみるのもいいかもしれません。

上司になり、責任も重く仕事も忙しくなると、つい部下への感謝を忘れてしまいがちです。「仕事だからやって当たり前」とか「わざわざ口に出さなくても伝わっている」などと考えるようになると、尊敬できない上司になってしまうと思います。

偉くなっても、当たり前の感謝や人としての礼儀を忘れないことが大切なのではないでしょうか。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)