更年期が原因ではない場合も…3人の動悸・息切れ体験とは

【ケース1】腰痛を治すため始めたヨガで動悸息切れも改善

子どもが手を離れたら優雅にヨガに通おうと思っていたのに、気付けば40代半ば。腰痛も出てきて、腰痛にはヨガが良いと聞いていたのもあり、とにもかくにもヨガ教室に駆け込みました。

1時間半のレッスンはあっという間に終わり、つらかった体は高揚感と心地良さで、幸せな気分に。もちろんヨガ教室に通うのは続けることにしました。そして、ヨガを続けているうちに腰痛以外にも変化が現れたのです。

目を閉じて自分自身と向き合うことで自律神経が整えられたのか、少し気になり始めていた息切れや動悸も治まってきているのです。無理なくゆっくり体を動かすことがいいのでしょうか。それとも、ゆっくりと深い呼吸法が功を奏したのでしょうか。激しい運動をしていないのに、体が整えられて動けるようになってきているので、すごくうれしいですね。

【ケース2】医師の説明に納得した上で始めたホルモン補充療法で改善

45歳のとき、仕事中に頻脈と息苦しさを感じて最初はストレス?と思っていました。が、動悸を感じる頻度も増えてきました。循環器に問題があるのかと心配になり循環器内科を受診すると、年齢的なものではないかと医師から話があったのです。

年齢的なものというのは、更年期ということでした。しかし同年代の友人たちから聞く更年期の話はホットフラッシュなどの症状ばかりで、動悸なんていう症状は聞いたことがありません。動悸は本当に更年期なのだろうか?と思いながらも、婦人科の更年期外来を受診してみるとやはり更年期という診断でした。

婦人科では更年期に急激に減少する女性ホルモンを薬で補うホルモン補充療法について説明してもらいました。ホルモン補充療法は効果に個人差があること、副作用があることを聞いた上で、現状の動悸のつらさと比較して考え、試してみることにしました。

1週間後に検査をしてホルモン補充療法をおこなうにあたって私自身には大きな問題はないことがわかったので、そのまま続けることになりました。1カ月服用したところで動悸を感じなくなりました。現在も定期的に婦人科で診察を受けながら、半年ほどホルモン補充療法を継続しています。その後、更年期らしい症状を自覚することはほぼありません。

【ケース3】動悸・息切れ、発汗、ほてり…更年期障害と思ったらバセドウ病だった

趣味はランニング。最近いつもより遅いなぁ……とは感じていました。そのうち、声がかれ始め、発汗やほてりも感じるようになってきて、「これが更年期障害の症状なのかな?」と思っていたんです。更年期は時期が来たら治ると思っていましたし、「ストレスが敵」とばかりに趣味のランニングに励んでいました。

あるとき友人に「ハスキーボイスがすてきだよね」と言われたのですが、私はもともとはハスキーな声ではないんです。そのころ、趣味のランニングもすぐに息が切れるようになり、ランニング後の動悸も尋常ではありませんでした。そこで近所のクリニックを受診すると専門病院を紹介されて。「甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう:バセドウ病)」と診断されました。

バセドウ病とは甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうもので、私自身、その症状は思い当たるものばかりでした。多汗、動悸・息切れなど本当に更年期障害の症状とよく似たものばかりです。この病気は心臓をはじめ、さまざまな臓器に負担が掛かり、時には不整脈から心不全を起こすこともあるとのこと。早めに受診できて命拾いしました。

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まとめ

更年期によく見られる動悸や息切れは、ホルモン変動に伴う自律神経の不調が原因ですが、これらの症状は高血圧や心不全、甲状腺機能亢進症など他の病気の兆候である可能性もあります。症状の出現には個々の生活習慣やストレスも影響し、適切な生活リズムの維持が自律神経を安定させる鍵です。

治療法としては、ホルモン補充療法、漢方薬、エクオールのサプリメントが効果的です。ただし、症状が急に現れる場合、動悸・息切れの症状以外を伴うときなどは循環器内科を受診しましょう。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

イラスト/マメ美

著者/監修/天神 尚子 先生
三鷹レディースクリニック院長。日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。
2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。