喫煙が社会問題として認知され、禁煙を推進する取り組みが行われるようになってから久しい。2020年からは改正健康増進法が全面施行され喫煙は厳しく制限されているが、禁煙を推進するための法律は他にもあるのだろうか。
本日から6月6日まで「禁煙週間」
喫煙が健康に与える影響は大きく、ニコチンには依存症がある。また、副流煙による受動喫煙も発生することから、喫煙は「個人の自由」にとどまらない深刻な問題となっている。
1989年、世界保健機関(WHO)は5月31日を「世界禁煙デー」と定めた。厚生労働省も5月31から6月6日までを「喫煙習慣」と定めて、各種の施策を講じている。
今年の禁煙週間のテーマは「たばこの健康影響を知ろう!~たばことCOPDの関係性~」。COPDは「慢性閉塞性肺疾患」の略称であり、喫煙が原因で中高年に発症しやすい、生活習慣病の一種。息切れや呼吸困難、ぜん息のような症状を引き起こす。日本の男性の死亡原因の第9位を占め、2030年には世界の死亡原因の第3位になるとも予測されている。
また、厚労省は「なくそう!望まない受動喫煙。」プロジェクトを進行しており、イメージキャラクターの「けむいモン」はX(旧Twitter)にもアカウントが存在する。
明日5/31は #世界禁煙デー、そして5/31~6/6は #禁煙週間 なんだモン!
この機会に、禁煙やたばこについて、考えてほしいモン!#けむいモン も明日から全国のラジオやYouTube等で受動喫煙対策のアピールを頑張るモン!#なくそう望まない受動喫煙 #受動喫煙 #ルールだモン pic.twitter.com/HHiQO5wgtG— けむいモン(なくそう!望まない受動喫煙) (@kemuimon) May 30, 2024
厚労省のほかにも、禁煙を広めるための活動を行う団体は多い。学術団体の「日本禁煙科学会」は禁煙を広めるために「全国禁煙アドバイザー育成講習会」を定期的に開催しているほか、5月28日には「世界禁煙デー記念イベントin京都」を開催した。
喫煙は改正健康増進法によって規制されている
改正健康増進法では、受動喫煙を予防するため、施設の種類や場所ごとに細かく規制が定められている。行政法にも詳しい結城将太弁護士はこの法律について以下のように解説する。
「改正後は、大きくみると施設内は禁煙となりました。また、受動喫煙により健康を損なう恐れが高い人がいる病院や保育園などは、施設内だけでなく、屋外も含めた敷地内全面禁煙となっています。他方で、バーやスナックなど喫煙を主目的とする施設については、室内でも喫煙が可能となっています。」(結城弁護士)
改正健康増進法の対象となるのは、喫煙する個人と施設の管理権者だ。
「違反が確認された場合、まずは都道府県知事等から“指導”が出されます。それに従わない場合は、勧告、公表、命令と段階的に行政庁からの処分が下されていきます。場合によっては、罰金(過料)50万円が課せられることもあります」(結城弁護士)
改正健康増進法のほかにも、各都道府県の条例によって喫煙が規制される場合がある。また、未成年者の喫煙は「未成年者喫煙禁止法」(正式名称は「二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律」)によって禁じられている。
社会の潮流をふまえると、喫煙に関する規制は今後もますます厳しくなることが予想される。世界禁煙デーは「喫煙と健康を考える日」でもある。喫煙者の方々も、今後も喫煙を続けるかどうか、考えてみてはいかがだろうか。