柚木麻子、人生の転機になった会社の先輩の一言「小説家になるといい」

男性3人を殺した木嶋佳苗の事件をモチーフに描かれた小説『BUTTER』が、ドイツやイギリス、アメリカで次々に翻訳本が刊行されるなど、海外での人気も高まっている作家の柚木麻子さん。新刊『あいにくあんたのためじゃない』制作秘話についての前編に続き、後編では作家になったきっかけや、SNSがもたらした不思議な縁について話を伺った。

映画『恋人たちの予感』を丸暗記して、いざ海外へ

現在は、仕事で海外へ行く予定があるため、柚木さん流の英語の勉強にトライ中だそう。

「英語教室に通うのはムリだし、Zoomで決まった時間にオンライン英会話するのもムリ。iPhoneのアプリを使いこなして英語を勉強する自信も全くない。でも、映画を1本丸暗記するんだったらできると思ったんです。

そこで選んだのが『恋人たちの予感』(原題:When Harry Met Sally…)。メグ・ライアンとビリー・クリスタルのラブコメが以前から大好きで、なんと英語の台本も持っているという。

「メグ・ライアンが、レストランでやたらと細かく注文するところとか、覚えたところで絶対に使わない箇所もあると思うんですけど(笑)。映画を1本丸暗記したら、英語ができるようになるという実験を、身をもってやってみたいと思います」

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interview & text: Akiko Yoshida  photo: Tomoko Hagimoto