「コス」が京都の絞り染めで水の流動感を表現。職人との協働の背景は

「コス」は6月5日、京都の絞り染め職人の田端和樹とコラボレーションしたカプセルコレクションを発売する。手筋絞りと雪花絞りの柄をプリントに応用するもので、2柄を用いたセットアップやカフタンドレス、スカーフなど14型をラインアップ。透明感と浮遊感のある柄と素材、そして流れるようなシルエットが印象的だ。コラボはどのようにして生まれたのか。「コス」デザインディレクターのカリン・グスタフソンとたばた絞りの田端和樹代表に聞いた。

絞り染めの柄をプリントした理由

伝統工芸の継承を本気で支援するなら、最も望ましいのは工房に継続的に一定量を依頼することだが、今回「コス」は染職人に量産のための柄作りを依頼した。「コス」は世界各国に販路を持ち、手染めを採用すると同ブランドの価格帯と見合わない。さらに手染めは一点一点同じものはないため、個体差が生まれる。


日本では青山店やマリン アンド ウォーク ヨコハマ店、ダイバーシティ店の直営店の他オンラインストアで、全世界では欧州31店舗、アジア太平洋21店舗、北米9店舗とオンラインストアで販売。

今回の協働からグフタフソンディレクターはどう感じ取ったのか。「直接染めた生地を用いて作るアイデアも挙がりました。けれど現実は難しく実現するにしても少量生産になります。過去には刺しゅうを施したアイテムを少量生産することがありましたが、今回はより多くの方に、絞り染めを伝えたいと考えました。理由は日本でもよく知られていないと知ったこともあります。日本はもちろん、他の国にも絞り染めを伝えることは大きな意味があるのではないでしょうか」

田端代表も「絞り染めは1000年以上守られてきた技法で説得力がある。一方で、着物や染色の需要が激減しており、その技法を発揮する場を失い辞める職人、技を習得するまでに時間がかかり続かない方など衰退の一途です。特に私のような若い職人たちは仕事がなければ生計が立てられず、続けることができません。今回デザイン提供という形で、絞りの可能性を見出してもらったことを嬉しく思っています」と話す。

〈左〉ジャケット ¥26,000、パンツ ¥23,500、〈右〉ジャケット ¥26,000、ショートパンツ ¥16,000(全て税込価格)

また「単発の企画は、絞り染めは残っても、職人は(依頼が続かない場合)振り出しに戻るかもしれません。ですが、その時が来たらそれは私の実力不足。今後も、素材が変わるなど変化していくことはありますが、基本的な技法は変えずに挑戦していきたい」と話した。

text: Yuko Hirota

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