政府は、2025年度以降に「ロードプライシング」を全国に拡大させていく方針を示しました。ロードプライシングとは、曜日や時間帯に応じて、高速道路料金を変動させる制度のことです。政府はどのような狙いでロードプライシングを導入するのでしょうか。この記事では、ロードプライシングの効果やメリットについて詳しくお伝えします。

ロードプライシングとは?


高速道路の料金所
【画像出典元】「stock.adobe.com/takadahirohito」

政府は、高速道路料金を時間帯や曜日によって変動させる「ロードプライシング」を2025年度以降、全国に拡大させる方針を固めました。6月に策定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に詳細を盛り込む予定です。

ロードプライシングとは、特定の時間や区間で高速道路の料金を上げ下げする施策で、主な目的は渋滞の緩和です。2021年、東京オリンピックの期間中に首都高速で実施されたほか、千葉県木更津市と神奈川県川崎市を結ぶ「東京湾アクアライン」で実証実験として実施されています。

通常の東京湾アクアラインの通行料はETC搭載車で800円ですが、混雑する可能性の高い土日と祝日は、東京方面への上り線で13時~20時の通行料は1200円となります。反対に、道路が空きやすい土日・祝日の20時~午前0時は600円に割引するといった具合に、道路の混雑状況に合わせて通行料を上げ下げしています。

また、北海道(道央道)、新潟県(関越道)、山梨県(中央道)、石川県(北陸道)、香川県(高松道)、長崎県(長崎道)の6道県の一部区間では、一般道路の混雑緩和のために指定区間が最大半額になる取り組みが行われています(通勤パス)。これを2026年以降、全国に拡大させていく方針です。

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2026年度以降、全国に順次拡大


高速道路の料金所の渋滞
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高速道路のロードプライシングの全国拡大に向けたスケジュールは次の通りです。まず、2025年度に、東京湾アクアラインで行われている料金変動制の変動幅を拡大。時間帯を工夫すれば現在よりお得に東京湾アクアラインを利用できるようになる可能性もあるでしょう。また、2025年度中には全国で都市部の料金所のすべてがETC専用に切り替わります。

次に、2026年度以降、料金変動制を導入する路線を全国に拡大させる予定です。同時に、現在6道県で導入されている通勤パスを全国に拡大させていきます。ただし、どの路線のどの区間で通勤パスが導入されるかは現在のところ明らかになってはいません。

そして、2030年度を目途に時間帯や曜日によって料金を変動させる路線を全国に拡大する予定となっています。また、2030年度までには全国の料金所がETC専用となります。国土交通省の調査によると、ETCの利用率は94.8%(2024年2月時点)とほぼすべての車両がETCに既に対応していると言ってもいい状況です。しかし、残りの数%の方は2030年度までにはETC車載器を購入しなければ高速道路に乗れなくなってしまうことは押さえておいてください。