海を労わり、汚さないための小さなアクションが大切
――世界中で海洋問題は深刻化しています。問題解決に向けて、日本さかな専門学校だからこそ取り組めることはなんだと考えますか?
中村:三浦という地を活かして、持続的に環境問題に取り組んでいければと考えています。例えば、アオリイカの産卵所づくりや、漁協の方々と協力して藻場の再生を一緒に行うなど、できることはたくさんあります。学校として携わることで永続的に取り組むことも可能だと思うんですよね。
環境問題は取り組んですぐに改善されるものではありません。どれだけ継続して取り組めるかが大事ですので、これからも魚の専門学校として力を入れて取り組んでいきたいと考えています。
――組織として取り組めるのは心強いですね。同時に私たち一人一人が海洋問題や水産業界が抱える問題に対し取り組めることは何かありますか?
中村:まず海や魚、水産業について知ってもらうことが大切だと思います。世界には透明なビニール袋がずっと水槽内を漂うだけの水槽を設けて、環境問題を訴えている水族館があるんです。それを見て「自分たちが捨てたごみが、海に漂っていたら、魚が餌だと勘違いして食べてしまうかもしれない」と思いを張り巡らせることができれば、自ずといろいろな解決策を知りたいと思うはずです。
もちろん、そういった問題を知ったとしても、一人の人間ができることは限られます。海釣りが趣味な人は、釣り糸は全部回収して帰るとか、海水浴に行ったときはごみを残さない、見つけたごみは自分のものでなかったとしても拾って持ち帰るなど、問題を自分事として捉えて小さな取り組みを重ねていくことがとても大切だと思います。
一人一人の小さなアクションが、海とそこで生きる生物、ひいては水産業の問題を解決する一助になると考えています。
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こちらの記事も参考に:海の問題を自分ごとにするために必要な海洋教育とは?(別タブで開く)
編集後記
魚の生息地が変わってしまうほど、海洋問題が深刻化していることに驚きを隠せませんでした。
“海離れ”という言葉もあり、日本人にとって魚に興味を持つ機会も少なくなっていると感じます。故に、一人でも「海って面白い!」と思える子どもが増えれば、自ずと海洋や水産業が抱える問題も改善されていくのではないかと、中村さんのお話を聞いて感じました。
日本さかな専門学校の今後の取り組み、生徒たちの活躍に期待したいと思います。