創業時からほぼ変わらない、マスターの発想で生まれた料理


お店おすすめメニューの「インドオムラ」

まず提供されたのは、バナナとジャイアントコーンがお皿に盛られたお通し。お店のイチ押しメニューは、カレーピラフとオムライスを組み合わせたオリジナル料理『インドオムラ』です。

他のお店では見かけないようなお通しや料理を含め、メニューはほぼすべてマスターが考案したそう。店内には、動物とメニュー名が描かれたポップも飾られています。

「自分で考えるから、ネーミングに個性が出ちゃうんですよね。創業時から、メニューはほぼ変えていません。価格の変更も約30年間ほとんどしていなくて、人から『値上げしないの?』と言われて自分でも安さにショックを受けました(笑)」


「ぶどうしぼり」

『ぶどうしぼり』は、国産ワインの産地として有名な長野県の桔梗ヶ原から取り寄せたもの。ワイングラスに入って提供されるぶどうしぼりからは、単なる“ジュース”にとどまらない優雅な雰囲気が漂います。

マスターおすすめのスイーツは、お酒の効いた『ブランデーケーキ』。ぶどうしぼりとケーキをあわせて、大人な気分を楽しむのもよいかもしれません。


「ブランデーケーキ」

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「こんな喫茶店をやりたい」と思ってくれる若い人がいれば

絵画やオブジェとともに店内に飾られている、カフェアルル一代目の猫・五右衛門の多数の写真。マスターは五右衛門が載った雑誌を取り出し、動物とお店の歩みをゆっくりと話してくれました。

「もともと、猫の前に犬がいました。僕は絵が好きで『絵を飾れる店をやりたい』と思って喫茶店を始めたのですが、そのくらいの時期に近所の人が犬を拾ってきたんです。

その後、街中で飲食店のシャッターにはさまった猫を見つけたんですよね。心配だったので、お店が営業してシャッターが開くまでの4日間、段ボールで日陰を作ったり、水とエサを渡したり、ひたすら通いました。


先代猫の五右衛門

シャッターが開いた日に行ったら、その場には猫はいませんでした。でも、近くの茂みをふと見たら、その猫が茂みの中から僕をじっと見ていたんですよね。

僕が近づいて抱こうとしたら、逃げればいいのにそのままこちらのほうへ来て、『うちに来るか?』と聞いたら『にゃん』と返事したので、うちの猫になりました(笑)」

それが、一代目看板猫の五右衛門との出会いだそう。五右衛門はすぐに喫茶店に馴染み、カフェアルルの常連だった記者を通して、雑誌や新聞で“美猫”として取り上げられるように。五右衛門が旅立った後に来た2匹も、先代の猫と同様に穏やかにカフェの中で暮らしています。

「僕も店もあくまで自然体を大事にしているので、できないことを続けようという気はないんですけどね。この店を見て『こういう喫茶店をやりたいよね』と思ってくれる人がいれば嬉しいな、と思います。芸の道のように、後に続く人に何かを残していきたいですね」