快適な住まいにできるだけ長くお得に住みたいという方は多いでしょう。
賃貸物件に長く住むためには、必ず更新という手続きを行わなければなりません。
更新では、更新料という費用がかかってくるため、家賃と併せて更新料についてもよく考えておく必要があるのです。
家賃についてだけでなく、更新料についての基礎知識もしっかりとおさえておくことで、より長くお得に住み続けることができます。
今回は、更新についての基礎知識や相場、支払い方法から家賃・更新料の値下げ交渉のコツなど幅広くご紹介します。
今の家賃に不満がある方や、更新が近づいてきて不安という方は、ぜひ参考にしてみてください。

更新とは?基礎知識を学ぼう

まずは、更新の基礎知識を学びましょう。
なぜ更新手続きをしなければならないのか、全ての契約で更新が必要なのか、どれくらいの頻度なのかなどをご紹介します。

なぜ更新手続きが存在するのか

更新手続きは、契約を継続するために行う手続きです。
後ほど詳しくご紹介しますが、賃貸は一般的に2年に1度更新手続きを行うことになります。
契約期間が2年で満了するため、住み続けるには更新しなければならないのです。
この仕組みによって、賃料の見直しなどがしやすかったり、ルールを守れない入居者を退去させることができたりします。
では、なぜ更新料がかかってくるのでしょうか。
その理由には次のようなものが挙げられます。

・収入の一部として徴収している
・更新料を徴収する分、家賃を安くしている
・補修費用にあてるため
・仕来りのようなものだから

更新の有無は契約によって変わる

賃貸は、契約によって更新できない場合もあります。
契約ができる契約とできない契約について詳しく見ていきましょう。

更新ができる契約

更新ができるのは、「普通借家契約」です。
普通借家契約は、契約期間を満了した後も、更新することによって住み続けられる契約です。
そのため、更新の通知が届いた場合は、普通借家契約であると言えます。
とはいえ、ほとんどの賃貸が普通借家契約であるため、契約時に特別な説明をされなかった場合は更新通知が届くと考えておいて良いでしょう。
また、普通借家契約の特徴として、入居者が更新を望んだ時、原則大家さんがそれを拒むことはできない点が挙げられます。
しかし、家賃の滞納が繰り返されていたり、マナー違反が目立ったりする場合は更新を拒否できます。
長く住み続けたいという場合は、家賃の支払いや社会人としての知識・判断力をしっかりと持って行動することが大切です。
また、更新するということは、更新料の支払いも求められます。
事前に更新料を把握しておくだけでなく、期日までに支払えるように用意しておくことも忘れないようにしましょう。

更新ができない契約

更新ができないのは、「定期借家契約」と呼ばれています。
定期借家契約には更新という仕組みがないため、契約期間満了後は速やかに退去しなければなりません。
大家さんが認めれば、住み続けることも可能ですが、この場合は契約ではなく「再契約」という形になります。
契約する時に受けた説明を再度受ける必要がある他、もう1度同じ手続きを行わなければなりません。
更新料はかからないものの、事務手数料や仲介手数料、保証料といった費用がかかってきます。
とはいえ、敷金は返還されたものでまかなえるケースが多く、礼金についても初回に支払っていることから、免除されることがほとんどです。
定期借家契約で注意したいのは、再契約が難しいという点です。
更新料がかからないとはいえ、再契約ができるかどうか分からないため、同じ物件に長く住みたいという方は、普通借家契約の物件を探すのがおすすめです。

更新頻度は2年に1度

更新ができる契約で賃貸を借りた場合、更新頻度は一般的に2年に1度となっています。
普通借家契約では、1年以上の契約期間を設けなければ、大家さんにとって不利なことが多くなってしまうからです。
1年未満の契約となると、法律で決まっている「期間の定めがない建物の賃貸借」に該当してしまい、「退去をするなら1ヶ月前までに通知する」などといったルールが設けられなくなってしまうのです。
1年1ヶ月などの期間でも問題はありませんが、入居者にとっても大家さんにとっても不便になることから、2年での更新が多くなっています。

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賃貸物件における更新料の相場はどれくらい?

「令和4年度住宅市場動向調査報告書」 では、更新料を設けている賃貸物件が45.8%、更新料を不要にしている物件が39.2%という結果が出ています。
また、更新手数料の月数に関しては、最も多かったのが「1ヶ月ちょうど」で77.2%、次いで「2ヶ月ちょうど」が9.8%、「1ヶ月未満」が7.9%となっていました。
このことから、更新料の相場は家賃1~2ヶ月分であることがわかります。

ただし、上記はあくまで相場であり目安にしか過ぎません。
特に地域によっても更新料には大きな違いがあります。
平成19年に行われた「民間賃貸住宅に係る実態調査(不動産業者)」 によると、各都市で更新料がある物件の割合と相場が異なっていることがわかりました。

都市 更新料を設けている物件の割合 更新料の相場
北海道 28.5% 0.1ヶ月
宮城 0.2% 0.5ヶ月
東京 65.0% 1.0ヶ月
神奈川 90.1% 0.8ヶ月
埼玉 61.6% 0.5ヶ月
千葉 82.9% 1.0ヶ月
長野 34.3% 0.5ヶ月
富山 17.8% 0.5ヶ月
愛知 40.6% 0.5ヶ月
京都 55.1% 1.4ヶ月
大阪 0% –
兵庫 0% –
広島 19.1% 0.2ヶ月
愛媛 13.2% 0.5ヶ月
福岡 23.3% 0.5ヶ月
沖縄 40.4% 0.5ヶ月

更新料を設けている物件が多かったのは神奈川県や千葉県などで、東京は65%もの物件で更新料があることがわかっています。
一方で、大阪・兵庫には更新料を支払う文化がなく、物件の割合も0%となっています。
しかし同じ関西エリアにあっても京都では55.1%の物件に更新料があり、なおかつ平均相場は1.4ヶ月と全国的に見ても高い数値です。
こうした理由から、地域によって更新料は大きな違いがあると言えるでしょう。