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●「旅先で旨いものを食べたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこで、東京のB級グルメに精通する現役タクシー運転手・荒川治さんに、オススメのお店を教えてもらいました。
こんにちは。タクシードライバーの荒川です。
ここ数年、タクシーを運転しながら、改めて東京の様相が激変したなぁと思います。大規模工事をしていたでっかいビルが次々とオープンしていて、昔ながらの街のシンボルや目印が変わっていく。毎日、車を走らせて街や道を知っているはずの私たちタクシー運転手ですら、その様変わりのスピードについていけないと思うほどです。
そんな中、昔からある古〜いビルを見ると、やっぱりホッとするんですよね。今回ご紹介するお店も、そんな古いレトロビルの中にあります。
1971(昭和46)年に建てられた「ニュー新橋ビル」
新橋駅前にある「ニュー新橋ビル」です。“ニュー”とついていますが、ここができたのは、1971(昭和46)年。外から見ても中に入っても、壁や装飾などのデザインが非常にレトロ。まさに昭和の匂いがプンプンします。
そして今回のお店は、そのニュー新橋ビルに今年(2024年)5月5日に新しくオープンした焼きそば屋『頂上(TEPPEN)』です。ここ、「焼きそばをおかずにご飯を食べる」という変わった食べ方を強制(?)してくるお店なんです。
2024年5月5日にオープン。ビルの外側から入店できます
お好み焼き×ごはん、焼きそば×ごはんなどの定食がよくある大阪の方なら「普通やんけ」と思うかもしれませんが、他の地域に住む人にとっては相当珍しい食べ方だと思います。
「頂上(TEPPEN)」が掲げているポスター。大阪の粉もん文化を表明しています
私も生粋の江戸っ子なので、焼きそば&ごはんの組み合わせは少し抵抗感があります。なのでこの店に掲げられていたポスター(写真参照)を見かけたときも、正直言って、「焼きそばだけでいいんだけどなぁ」という印象を持ちました。
しかし、このお店を車内から見ていると、昼時はいつも行列しているんです。そこで、一度は食べておくかと訪問したところ、これがどうして、美味しかったのです。
もちもち太麺とこってり味がごはんに合う!
「目玉焼き焼きそば」1140円(ご飯・味噌汁付き)
入店すると、まずキャッシュレス券売機でメニューを選択。最初に「焼きそば」の種類を選び、次の画面で「ご飯の量」を選ぶ仕組みになっています。つまり、ライスの「要・不要」の選択権はなく、絶対に白飯と味噌汁が付いてくるのです。ご飯の量は、小盛り・中盛り・大盛りが選べ、どれも無料です。
『頂上(TEPPEN)』の焼きそばメニュー
ちなみに、私がこの店で興味を持ったのは、「焼きそばをおかずにごはんを食べる」という点だけではありません。この店の焼きそばが、「生麺の太麺」だということでした。というのも、私は焼きそばに関してはダンゼン太麺派。いつも家で焼きそばを作るときは、『肉のハナマサ』で焼きそば用の極太麺を買うほどです。
だから、この店の「生麺の太麺」も非常に楽しみでした。というわけで、その『頂上(TEPPEN)』の焼きそばが、こちらの写真です。
生の太麺を使用している『頂上(TEPPEN)』の焼きそば
生麺を茹でてから、さらに鉄板で焼き上げるという『頂上(TEPPEN)』の焼きそば。口当たりがなめらかで、つるんとしています。そして噛むともっちり。その水分量が絶妙です。そしてややスパイシーでまろやかな濃厚なソースがよく絡み、これはまさに私にとってどストライクの焼きそばでした。
カウンターの卓上にはマヨネーズがあるので、お好みで。
具材は豚肉、もやし、キャベツ。肉多め、野菜は適量。これらの具材1つ1つの炒め具合も過不足なく、特にキャベツはシャキッとした歯ごたえを残していて、キャベツ本来の甘みも味わえます。自分で作ると、野菜を多くしがちで、しかもその水分でややクタッとなりがちなのですが、この量でも炒め具合が素晴らしいので、野菜をちゃんと食べている感じがするんです。
そして、最後に、少し抵抗感があった「焼きそばをおかずにごはんを食べる」件についてですが……意外にもまったく違和感がありませんでした。
白米は、高級米「つや姫」を使用している
というのも、まずご飯が旨い! 良い米を使い、やや硬めの炊き具合も絶妙。その米が、濃厚ソースの焼きそばと合うんです。むしろごはんが合わさることによって、この焼きそばは初めて完成する、という感じすらします。
この食べ方にすっかりハマってしまい、最近は、自宅で焼きそばを作るときも、ご飯と一緒に食べるようになってしまいました。それに合わせて味わいも濃厚にしています。
まとめ
これは筆者がいつも『肉のハナマサ』で買っている焼きそば麺「G系極太焼きそば」
えー、炭水化物×炭水化物でしょ、ムリムリ! と思う人も多いかもしれませんが、実際に食べてみると、意外とすんなり受け入れられると思います。東京・新橋から、「炭水化物×炭水化物」の文化が関東に浸透していくと思うと、ちょっと楽しい気持ちにもなってきます。
●SHOP INFO
店名:頂上(TEPPEN)
住:東京都港区新橋2-16-1ニュー新橋ビル1F
TEL: 03-6268-8101
営:11:00~23:00
休:無休
(撮影・取材◎土原亜子)
●プロフィール
荒川 治
東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。