アブチロンという花をご存じでしょうか? トロピカルな雰囲気をもつ、熱帯性の植物で、夏の暑さにもへたらずに長い期間にわたって開花を繰り返します。鮮やかな花色は目を引き、ガーデンのアクセントとして重宝する植物です。この記事では、そんなアブチロンについて、基本情報から花名の由来・花言葉などの豆知識、詳細な栽培方法などをご紹介していきます。
アブチロンの基本情報
Isis Medri/Shutterstock.com
植物名:アブチロン
学名:Abutilon
英名:Flowering maple、Parlor maple、Chinese lantern、Chinese bellflower
別名:ショウジョウカ、ウキツリボク、チロリアンランプ
科名:アオイ科
属名:イチビ属(アブチロン属)
原産地:熱帯から亜熱帯
分類:常緑低木
アブチロンは、アオイ科イチビ属(アブチロン属)の常緑花木です。原産地は世界中の熱帯から亜熱帯で、160種類が分布しており、特に南アメリカで多種類が見つかっています。原産地から分かるように熱帯植物に分類され、寒さには弱いのが特徴です。樹形は種類によって、低木、半つる性、つる性と異なり、樹高も30cmくらいのものから、つるを3〜4m伸ばすものまであります。苗を購入する際はラベルなどで樹形や樹高、つるの長さなどを確認し、植えるスペース合うものを選びましょう。
日本でガーデニング用として一般的に流通しているのは、ショウジョウカ(Abutilon pictum)とウキツリボク(Abutilon megapotamicum)です。
ショウジョウカは、「猩猩花」と書きます。熱帯アメリカ原産の低木で、樹高は1mほど。花茎を長く伸ばした先に、ハイビスカスに似た4〜5cmほどの花が下向きに咲きます。花のサイズが小さいので、華やかながらも楚々とした雰囲気を持ち合わせるのが魅力です。花色は赤、ピンク、オレンジ、黄、白など。さまざまな園芸品種が生まれており、選ぶ楽しみがあります。
ウキツリボクは、「浮釣木」と書きます。流通名の「チロリアンランプ」のほうがよく知られているかもしれませんね。ブラジル原産でやや寒さに耐え、ほとんど霜や凍結の心配がない暖地なら庭植えでも越冬し、冬も花を見ることができます。直立せずにつるを伸ばす種類は、フェンスやオベリスクなどに仕立てるのも一案です。つるの長さは1.5〜2m。花姿はユニークで、ベル形のガクの先に黄色い花が咲き、その先に茶色のしべがのぞきます。花のサイズは3〜4cmで、赤×黄色のコントラストが目を引きます。花もちはよくありませんが、次々とつぼみをあげ、長い期間にわたってたくさんの花を咲かせてくれます。
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アブチロンの花名の由来
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アブチロンの名前は、学名のAbutilonから来ています。ギリシャ語でAは「無い」、Bousは「牛」、tilosは「下痢」を意味し、これらを合わせた言葉が語形変化したものです。昔から家畜の腹下しに下痢止めとして与えていたことに由来するとされています。