現在放送されているNHK連続テレビ小説「虎に翼」の登場人物のセクシュアリティーについて、脚本家の吉田恵里香氏が2024年6月10日にXで言及した。

話題になっているのは、同日放送回で描かれた、ヒロインの寅子(伊藤沙莉さん)の大学の同級生である花岡悟(岩田剛典さん)の死をめぐる場面。花岡と同郷出身で、仲の良かった同級生の轟太一(戸塚純貴さん)が、花岡への思いを独白するシーンがあった。

「私は、透明化されている人たちを描き続けたい」

脚本家の吉田氏は10日の放送後にXを更新し、「よねが【白黒つけたい訳でも白状させたい訳でもない】と言っていますし、轟も自認している訳ではないのですが、一応、念の為に書いておきますね」と前置きし、「轟の、花岡への想いは初登場の時から【恋愛的感情を含んでいる】として描いていて私の中で一貫しています(本人は無自覚でも)」と明かした。

吉田氏によると、「人物設定を考える時から彼のセクシャリティは決まっていました」とのこと。一方、「もし轟が女性だったら、きっと最初から花岡との関係の見えかたが違っていたでしょう」とし、「私も含めて思い込みや偏見で人をカテゴライズしています。私も日々無意識の決めつけをしてしまい反省してばかりです」とつづった。

また、以前に脚本を担当した「生理のおじさんとその娘」(NHK総合)でもレズビアンを登場させたところ、「この設定はいらなかった」「盛り込みすぎている」との批判を受けたという。吉田氏は「そう思わせる私の本の未熟さは100%反省しますが、同性愛は設定でもなんでもないです」と見解を明かした。

なお、「轟自身がまだ自認しきっているわけでも答えをだしたいわけでもないと思うので、これを機に視聴者の方々も色々考えてご覧いただければ大変嬉しいです。こういう機会を朝ドラでもらえることはありがたく感じています」と感謝の念を述べた。

吉田氏は「私は、透明化されている人たちを描き続けたい」「それが特別なことと思われる世界が悲しく残念ですし、描き方には注意を払うものの、私は現実にあるものを書いているだけです。褒められたい訳でも説教したい訳でもないです」とつづり、「長年刷り込まれてきた様々な嫌悪感や差別に対して、何か少しでも変わっていくことを望みます」と呼びかける。

また、「私なりに勉強や取材を重ねているつもりですが、間違えることも沢山あるし、やりかたや言葉の使い方に後悔もある。伝わらないこともある。私のやり方が正しいのか、それこそ当事者の方から不快じゃないのかも分からないこともある。でも私なりにやっている最中です」と思いを明かしていた。

この吉田氏の投稿には、

「丁寧に描こうとされる姿勢が嬉しいです。ありがとうございます」
「涙が止まりません。透明な存在に気づいて、見えるようにしてること。そういう作家さんがいることを知れて嬉しいです」

という声が集まっていた。