家庭で発生する廃食用油や、廃食用油以外の原料からもSAFを生産
――一般家庭で料理に使った後の油は活用できないのでしょうか?
立田:もちろん、ご家庭で発生した廃食用油も、SAFやC-FUELなどバイオディーゼル燃料の原料になります。しかし、現状としてはほとんどが凝固剤などを使って燃えるごみとして処分されているため、地域に回収ステーションを設置するなど、行政機関や自治体と連携しながら取り組んでいるところです。ゆくゆくは、コンビニなど身近な場所に回収ボックスを設置できたら理想ですね。
――SAFの普及を進める上で、最も大きな課題とはなんでしょうか?
立田:繰り返しになりますが、廃食用油の安定的な確保です。現在飼料に再利用されている分や、輸出されている廃食用油、家庭で発生する廃食用油など全て合わせても、国内で必要なSAFをまかなうには到底足りません。
そのため、2008年よりベトナムの耕作放棄地において、非食用の原料植物を栽培し、SAFやバイオディーゼル燃料などの原料としての活用できるよう取り組んでおります。また、廃プラスチックや木くずなどの廃食用油以外の廃棄物からSAFやHVOを作る技術開発にも成功しております。
――SAFの日本国内での生産や普及が進み、脱炭素社会の実現に向けて、私たち一人一人ができることはありますか?
立田:一人でも多くの方にSAFやC-FUELなどのバイオディーゼル燃料、資源循環の重要性について理解を深め、当社の取り組みにご理解とご賛同いただければと思います。
賛同してくださる企業や自治体、団体の方にはぜひプロジェクトに参加していただけたらと思いますし、個人の皆さんにも「私たちのまちにも廃食用油の回収場所をつくってほしい」と声を上げていただけたら嬉しいです。
小さな1歩かもしれませんが、SAFに興味を持ち、ファンになってくださる方が増えることが、国内での普及につながり、さらにはCO2を主な原因とする地球温暖化を抑制することにもつながるのではないでしょうか。
エビフライやカトラリーを飛行機に見立てた「Fry to Fly Project」のキービジュアル。「天ぷら油で空を飛ぶ」をキーワードにさまざまPRイベントを展開する。画像提供:Fry to Fly Project
編集後記
一部の自治体や店舗では、すでに廃食用油の回収が行われていますが、ほとんどの自治体では、依然ごみとして焼却処分されてしまっております。
東京都では2050年までに世界のCO2排出実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」の実現を目指して、SAFの原料となる廃食用油の回収キャンペーン「東京 油で空飛ぶ 大作戦 Tokyo Fry to Fly Project」なども展開していくことを発表しました。
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参考:廃食用油回収促進 東京 油で空飛ぶ 大作戦等|東京都(外部リンク)
最後に立田さんは「声を上げてほしい」と言っていましたが、多くの自治体はウェブサイトにお問い合わせ窓口(お問い合わせフォーム)を設置していて、誰でも気軽に「個人の意見」を伝えることができます。
まずは自分の住んでいるまちや地域から、持続可能な社会を目指していきましょう。