倒産件数が、10年10か月ぶりに1000件超え――。東京商工リサーチが2024年6月10日に発表した「全国倒産状況」によると、同年5月度の倒産件数は1009件となり、前年同月比42.9%増だった。前回1000件を上回ったのは、13年7月の1025件。

農・林・漁・鉱業、建設業、製造業を含む10産業全てで前年同月を上回った。例えば小売業の倒産件数は106件、前年同月比45.2%増となっている。

「企業倒産は増勢をたどる可能性が高い」

2024年1~5月の累計倒産件数は4111件。このペースだと、13年の1万855件以来、11年ぶりに年間1万件を超えそうだ。

東京商工リサーチは発表資料の中で、

「コロナ関連支援が終了するタイミングで、円安、物価高、人手不足が経営にのしかかっている。このため、業績回復が遅れる企業に加え、仕事を確保しても資金調達が難しい『黒字倒産』などを交え、企業倒産は増勢をたどる可能性が高い」

と分析している。

755件が負債1億円未満と、小・零細企業が中心。同1億円以上10億円未満も235件発生し、次第に負債規模の大型化が目立つようになった。

産業別でみると、最多はサービス業他の327件、次いで建設業の193件、卸売業132件の順。地区別では、2023年8月以来ぶりに9地区すべてで前年同月を上回った。最多は関東地方で355件、次いで近畿地方256件、中国地方52件となっている。

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地方の百貨店「閉店ラッシュ」

各業種で苦戦が続くが、報道で近年目立つのが百貨店の閉店のニュースだ。2024年に入ってからも、1月に愛知県一宮市の名鉄百貨店一宮店、島根県松江市のJR松江駅前にあった一畑百貨店が閉店した。

4月には長野県松本市の「井上百貨店」が、25年3月末で営業を終えると発表。7月31日には、岐阜市の「岐阜高島屋」の閉店が既に決まっている。