特定の周期や月初めではなく、発売日が不定期の『季節のパフェ』。なぜキリの良いタイミングでの発売でないのか、理由を想像できますか?

このお店では、フルーツが到着する日や届いた品の個性が第一優先で、それに合わせてスイーツを作っているからなんです。今回紹介するお店「Maison heureux(メゾンウル)」ではシェフが農家と直で交流し、フルーツのおいしさを追求しているのだとか。目の前で作られる美麗なパフェと、絶品のレモンケーキを堪能しました。

2024年4月オープン。名店を経たシェフが開いたカウンター店

おしゃれなカフェやベーカリーが立ち並ぶ、今大注目のエリア・清澄白河。そんな清澄白河に新たに誕生したのが、今回紹介するお店です。

コンクリート調の壁に囲まれた店内には、キッチンに面したカウンター席10席が。パフェやケーキの名店「ビヤンネートル」や銀座のフルーツサロンを経た石内恵シェフは、「お客さまとちょっとしたお話をしたくて、この造りにしました」と話します。

「キッチンと席が離れていたり、間がガラス張りだったりするお店だと、お客さまとの距離が近いようで意外と遠い、と感じていました。果物を使ったスイーツを目の前で作りながら、 “農家さんがこういう風に工夫してくれているからこんなに美味しいフルーツができるんですよ”といったことを伝えられたらいいな、と思ったんです」

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発売直前まで微調整。直送フルーツの魅力を引き出す季節のパフェ


「パイナップル/国産グレープフルーツ/スパイスのパフェ」

お店のメインスイーツである「季節のパフェ」は、時期によって変わる2種類を展開。貴重な国産のスナックパインとピーチパインを使った『パイナップル/国産グレープフルーツ/スパイスのパフェ』は、スパイスを活用しながら、果物の美味しさを引き出せるよう調整を重ねたというスイーツです。

「パイナップルは、つながりのある沖縄の農家さんのものを使っています。グレープフルーツは、愛媛県の農家さんのものですね。苦みもきちんと感じられるので、全体の中で浮かないように、スパイスを入れたチャイとあわせてコンポートとして仕上げました。

以前は、スパイスやハーブをパフェやデザートに使う考えがあまりなかったんです。でも、スパイスを用いることが多いお店で働いていたときに組み合わせ次第で自分が食べたことのない味を引き出せるのがとても面白いと感じるようになって、今も楽しみながら使っています」

2種類のパフェの構成は、石内シェフとスーシェフが分担しながら考えているのだそう。味、見た目、食感、さまざまな観点から調整を重ねて、ようやく発売に至ります。

「スパイスやフルーツをパフェにどう使うかは、届いたフルーツを切って味をみたり、実際に試さないとわからない部分もあります。いつも、お店の閉店後とか、ちょっとした時間に少しずつ試していますね。今回は発売の前々日あたりまで、微調整しました(笑)」

さらに、「食べるところで味が変わったり、パーツを合わせたときに違った美味しさが楽しめるようにも工夫しています」と石内シェフ。フェンネルシードとビールの原料でもあるホップを使ったシュトロイゼル(そぼろ状のクッキー)、ココナッツとレモングラスのジェラート…など10種類以上のパーツが入ったグラスは、すくうたびに苦みと甘みのバランスが変化し、スパイスの後引く味わいを楽しめます。

パフェのトップには、透明感のある飴細工やかわいらしいスターアニス、沖縄県産のパイナップルを使ったソルベが。初夏にぴったりの、涼やかなデザインとなっています。