「ガイドヘルパーになる」「情報を広げる」。一人一人ができること
――お話を伺っていると、制度自体にもいろいろと課題がありそうですね。
鈴木:そうですね。とくに課題だと感じるのは同行援護の利用を申請した自治体によって、利用できる時間にばらつきがあることです。都内自治体での、この制度の利用可能時間の平均は月約50時間なのですが、なかには12時間というところもあります。あとはどの事業所も慢性的にヘルパー不足です。
私たちも課題を解決するためにいろいろと動いており、ガイドヘルパーの人数を増やすために同行援護従業者養成研修を受けられるスクールを開いたり、ヘルパーさんたちの時給を上げたりと、奮闘しているところです。
おともでは同行援護事業以外にも、ガイドヘルパーの養成や、同行支援希望者とヘルパーをつなげるWebサービスの運営も行っている
――「同行援護制度」が広がり、誰もが気軽に出かけられる社会にするために、私たち一人一人ができることはありますか?
鈴木:まずはこの記事を読んで、視覚障害のある方の生活の支援ができるガイドヘルパーという働き方があることを知ってほしいという思いがあります。
また、視覚障害のある方というのは、必要な情報をキャッチするのが難しい面もあるので、同行援護に関する情報を視覚障害者や、その関係者の方に伝えてもらったり、話題にしてもらったりするだけでもうれしいですね。
編集後記
今回の取材を通して、「同行援護制度」を普及させるには、障害当事者ですら知らない認知度の低さ、支援者不足といった大きな課題があることが分かりました。
同行援護事業所おともでは、利用者とガイドヘルパーのマッチングをスムーズにするWebアプリ、ガイドヘルパーズ(外部リンク)を開発し、まるでUber Eatsのように空いた時間をヘルパー活動に当てられる仕組みも生み出しました。
そんな手軽に活用できるサービスと共に、「同行援護制度」が周りの人に広がり、誰もが気軽に余暇を楽しめる社会が実現できたらと感じました。
撮影:十河英三郎