家を借りる際、何を基準にして物件を探しますか?
一般的には、毎月支払う家賃を基準に物件を探す方が多いのではないでしょうか。
住居に対する考え方は個人差があるので、手取り額や生活水準、重視したい部分によって優先順位も変わります。
しかし、無理のない範囲で家賃を決めないと入居後の家計が圧迫され、家賃を支払えなくなる可能性もあるため注意しなければなりません。
固定費(家賃)を制するものは家計を制するとも言います。
それほど家計に占める家賃の負担割合は大きいのです。
そこで今回は、家賃の目安についての考え方から手取り・地域別の家賃目安、物件選びのポイントなどを解説します。
無理のない生活が送れる家賃の目安が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
手取りと収入の違いについて理解しよう
家賃の適正価格として「年収20~25%」「手取りの30%」など、家を借りる際にこのような指標を耳にしたことがある方もいるでしょう。
家賃を決める際に重要なのは、「手取り」の金額とされています。
手取りとは、会社から支払われた給与で、自分で自由にできるお金です。
収入と手取りを混同している方もいるので、その違いについて改めて確認しておきましょう。
手取りと収入の違いとは?
まず、「収入」とは会社から得られる総支給額のことを言います。
年収は1年間の総支給額を指し、その中には、基本給や各種手当、ボーナスなどが含まれています。
一方、「手取り」は、収入から税金や保険料などを差し引いたものです。
つまり、総支給額(額面)は、実際に振り込まれる金額ではなく、各種税金保険料が引かれた後の手取りが実際に使えるお金となります。
・収入:勤務先から払われる総支給額、年収、月収、額面
・手取り:収入(総支給額)から税金、社会保険料が差し引かれたもの
手取りの計算方法
家賃を決める際には、実際に使える「手取り」から考えていくことが重要です。
手取りの計算方法は以下のとおりです。
手取り=総支給額-(所得税・住民税)+(健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険)
では、年収別に手取り金額がどれくらいになるのかを早見表で確認してみましょう。
※条件/独身扶養なし、ボーナスなし、給与所得控除、基礎控除、社会保険料控除のみ差し引いた場合
年収手取り所得税 住民税健康保険料厚生年金雇用保険250万円2,010,200円 41,700円93,500円120,000円219,600 円15,000円300万円2,368,520円54,000円118,000円 156,000円285,480円18,000円400万円3,136,980円83,900円 177,800円204,000円373,320円24,000円500万円3,890,720円137,800円245,300円246,000円450,180円30,000円600万円4,603,500円202,000円 309,500円300,000円549,000円36,000円
ざっくり把握したいのであれば、簡易的な計算方法で手取りを求めましょう。
年収に約70~80%(年収1,000万円以下のケース)をかけることでも算出できます。
年収が400万円であれば、年収に0.7~0.8をかけることで、280万~320万が手取り額になることがわかります。
紹介した手取り額については、養っている家族や控除の有無によって、同じ収入でも手取り金額が異なる場合もあります。
また、累進課税制度により、年収が高いほど税金の割合が増えるので、高年収ほど手取り金額の割合が減少することも見て取れるでしょう。
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「家賃は手取り1/3程度が良い」と言われているのはなぜ?
一般的に、「家賃は手取りの1/3程度が良い」と言われています。
なぜこのような提案が広くされているのか、妥当であるのかを手取り金額から考えていきましょう。
まず、手取り3割がどれくらいの金額なのか計算してみます。
手取り金額16万円……48,000円
手取り金額20万円……6万円
手取り金額23万円……69,000円
手取り金額25万円……75,000円
もし、手取りの3割を家賃とすると、手取りが16万円の方の家賃は48,000円、手取りが25万円の方であれば75,000円となります。
身近な家族や同僚の方の家賃と比べてみましょう。
大幅なズレはなく、相場として正しいのではないでしょうか。
このように、手取りから大体の家賃を決める方が多いですが、すべての家庭に当てはまるわけではありません。
家賃は住む場所によっても大きく異なってくるからです。
また、共働きで収入に余裕があるのか、子育て期間で出費がかさむ時期なのかなど様々なケースが考えられるので、一概に手取りの3割が理想とも限らないのです。
手取りの1/3を目安に、必要な生活費と照らし合わせて考えていく必要があるでしょう。
また、この目安の金額に、そのほかにかかる住宅費も考慮しなければなりません。
駐車場や管理費なども含めてもう少し安くした方がいいのか、まだ余裕があるのか検討すると良いでしょう。