暑さに向かってぐんぐん成長するハーブ。コンテナの中もぎっしりギュウギュウになってきていませんか? ハーブの多くはドライでカラッとした地中海気候エリアが出身地なので、日本のジメジメした梅雨は少々苦手。収穫を兼ねてさっぱり切り戻し、梅雨を快適に過ごさせてあげましょう。梅雨前に切り戻しておくと、梅雨明け後、再びグングン育って秋まで長く収穫が楽しめますよ。

ハーブは風通しが大事! 蒸れとジメジメから守ろう

ハーブは生育旺盛で、約1カ月で上の写真のようにプランターからあふれんばかりに育ちます。上記のプランターはガーデンストーリーWEBショップ限定オリジナルセット(5月完売)で、フェルト製のベジトラグ「ポピー GO」に10種19株のハーブが寄せ植えされています。この寄せ植えプランターを例に、この時期のハーブの管理をご紹介します。

<ハーブリスト>

■トリカラーセージ
■ゴールデンセージ
■ゴールデンレモンタイム
■シルバータイム
■イタリアンパセリ
■パセリ ‘パラマウント’
■カレープラント
■バジル エバーリーフジェノベーゼ
■ローズマリー(這性)
■斑入りペパーミント

こまめに収穫している場合はこれほどギュウギュウになっていませんが、観賞中心で育てた場合は、こんなふうに隙間がないくらいこんもり茂っています。この隙間がなく、風が抜けない状態がハーブは苦手。ハーブの出身地はカラッとしてドライな地中海気候のエリアが多いので、この状態で梅雨期に入ると、本来丈夫なはずのハーブも病気にかかったり、弱って枯れたりすることがあります。

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梅雨前にやりたいハーブの「切り戻し」

そこで梅雨前にやっておきたいのが「切り戻し」。切り戻しとは大きく成長した植物の茎を剪定し、草丈を低くしたり、混み合った枝を減らすこと。こうすることで、大きくなって乱れた草姿や、風通しの悪さなど悪化した生育環境が一度リセットされ、元の美しい姿や良好な環境に戻るため「切り戻し」といわれます。ハーブの場合は切った枝葉は料理やバスタイムなど、さまざまな暮らしのシーンで活用できるため、収穫を兼ねた作業ともいえます。

イタリアンパセリ、パセリの切り戻し

やり方は基本的に茎を短く切るだけですが、種類によって切る箇所の特徴を覚えておくとよいでしょう。例えば、イタリアンパセリやパセリの場合は地際から切ります。生い茂った株をかき分けると、内側には右上写真のように新芽が伸びてきています。この新芽に日光と風が当たるように、株の外側の伸びた茎を地際で折り取るようします。茎の上のほうで切ってしまうと、ツンツンした葉のない茎が見た目にあまり素敵ではありませんし、残った茎はいずれ枯れ、病気を誘発したりするので、地際で切りましょう。


イタリアンパセリを1株切り戻した分で、1束の収穫になりました。すぐに使わない場合、水に挿しておきましょう。

ミント、セージ、バジル、タイムの切り戻し

こちらは斑入りのペパーミント。ミント類は茎の節目から脇芽が伸びる性質があるので、株の下方の節の上で切ります。節の上には小さな脇芽が生えていることも多いので目安になります。ただ、節ごとに脇芽が生えてきますので、それほど厳密にしなくても大丈夫。茎を3〜4cm残してバッサリ切っればたいてい再び葉が茂ってきます。


脇芽が生えている上で切ります。切ると右の写真のように節目の両側の脇芽が伸びて、再びこんもり茂ります。

セージやバジル、タイムの場合も同様に、株をかき分けて茎の下のほうを見ると茎の両脇にプチッと脇芽が生えてきている部分があるので、その上で切ります。こちらもあまり厳密に場所を見定めなくても、株の下のほうで3〜4cm 茎を残して切ると覚えておけばOKです。

ローズマリーとカレープラントの切り戻し


ローズマリーの枝は硬いので剪定バサミで切ります。Daria Stock/Shutterstock.com

ローズマリーやカレープラントは、枝が混み合っていたら株元から切って、枝数を減らし風通しをよくしましょう。切った箇所の下から脇芽が伸びてくる性質があります。株を大きくしたい場合は、下の写真のように茎の上部で切るとそこから脇芽が生えて大きくなりますが、寄せ植えのプランターの中では大きくしすぎないほうがバランスがよいでしょう。


大きくしたい場合は先端のほうを剪定。ARTFULLY/Shutterstock.com

黄変した葉や枯れ葉はきれいに取り除きます

切り戻しをしていくと、株の下のほうに枯れた葉や黄色くなった葉を見つけることがあります。放置しておくとカビや病気の原因になるので、きれいに取り除きましょう。

黄変は肥料切れのサイン、追肥をしましょう

この黄色い葉は蒸れ、または肥料切れのサインです。大抵の培養土には元肥が含まれていますが、ここまでハーブが育つまでにその肥料成分が使い果たされているので、切り戻しが終わったら肥料を与えておきましょう。黄変した葉はここから緑に変わることはないので、見つけたら取り除いておきます。特に切り戻しをしないワイルドストロベリーなどの株の下のほうには、黄色の葉が隠れていることがあるので、よく観察してみましょう。

肥料の選び方


住友化学園芸の「マイガーデン」。液肥と粒状肥料があり、粒状肥料は即効性と持続性を兼ね備えた特別な設計になっています。

置き肥か液肥を水やりのタイミングで定期的に施肥します。置き肥は名前の通り置き型タイプの固形肥料で、粒状のものやペレットタイプなどがあります。一般的にはゆっくり長く効く性質のものが多く、一度置けば、水やりのたびに成分が溶け出しながら数カ月から1年近く効果を持続するものもあるので、ローメンテナンスで済みます。一方、液肥は水やりの際に水に薄めて使用する液体状の肥料で、即効性があります。施肥の回数は1〜2週間に1回程度で、用法にのっとり正しく希釈して使う必要があります。株の状態を見ながら、自分の使いやすいほうを選んで与えるとよいでしょう。


液肥は水に希釈して使うタイプが多い。Iryna Inshyna/Shutterstock.com

切り戻し後の水やり

普段通りでOKですが、ハーブの多くは乾燥気味を好みますので、梅雨時期は鉢土の中まで乾いてからやるくらいの間隔で水やりをします。鉢土の中が乾いたかどうかは、木製のマドラーなどを利用して土の中に差し込み、土がマドラーについてこなくなったら土の中まで乾いたと考えてよいです。ただし、ミントとバジルは水を好むので、そこだけ乾きに気をつけて水やりの回数を部分的に増やすといいでしょう。