森の緑を背景に、バラやアジサイ、そしてさまざまな宿根草が競演する武島由美子さんの庭。小鳥のさえずりが響き渡り、ミツバチやチョウが花から花へ飛び交うこの庭は、竹林を開拓するところから始まりました。さまざまな試行錯誤の末に、知る人ぞ知る秘密の花園へと生まれ変わった庭を訪ねました。

奥行き30cmにも満たないつるバラと草花の花壇

愛知県日進市の住宅街、遠くから見てすぐにその家だということが分かるほど、通りに面して花々が美しく競演する武島邸。奥行き30cmもない石積みの花壇に、 ‘レイニー・ブルー’や‘コンテスト・ドゥ・セギュール’、‘たまかずら’など数種類のつるバラが植栽され、そのやさしい色合いのバラの間に、窓辺の花台のアジサイが心地よいリズムで鮮やかな彩りを添えます。


(左)房咲きの花をたわわに咲かせるつるバラの‘たまかずら’や‘コンテスト・ドゥ・セギュール’。(右)バラの色を引き立てるブルーのロベリア‘カリブウォーター’や優しいイエローのペチュニア‘ステファニー’、ガザニア‘ビーストシルバーフォックス’がバラの株元をふんわり覆う。

バラの株元と花壇の手前に置かれたコンテナには、ブルーとイエローの花がふんわりと咲き誇ります。花があふれんばかりの華やかさながら、色を絞った色彩計画のもとにデザインされた壁際の花壇は、一幅の絵画を見るような美しさです。しかし、この表の庭は武島さんの庭のほんの一部に過ぎません。


淡い紫色のつるバラ‘レイニー・ブルー’にブルーと黄色の小花がよく似合う。

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森を背に華やかに彩られるメルヘンチックなバラと宿根草の庭

知る人ぞ知る秘密の花園は、玄関の脇の小道を進んだその奥、森の緑を背にして広がっています。広さ約200㎡の庭は、森に向かって少し高くなるように傾斜がつけられており、緩やかにカーブするレンガの小道は、その先の景色を見え隠れさせながら歩みを誘います。頭上から甘い香りを降り注ぐバラのアーチ、背丈以上の高さで林立する何百本ものジギタリスとデルフィニウム、白花がレースのように咲き集うホワイトガーデン。小道の先に開ける景色は常に新鮮な驚きをもたらし、一巡りする頃には感嘆のため息を使い果たしてしまいそうです。